KLへ



昼ゴハンは昨晩も行ったフードコート、その後川沿いの公園によってみた。

その公園も日曜の午後なのに人が少ない。

というかイポーの街そのものが眠っているのかもしれない。

駅前に立派な州立のモスクがある。

先にも書いたがマレーシアで、旅行者が入れないモスクが多い。

昨年のトルコのようにお祈りの時間以外は誰でも入れるのとはちょっと違う。

ここは旅行者でも入れるようである。
靴を脱いで中に入る。

祈りの時間では無いので(それだから異教徒が入れるのだが)信者は少ない。
床に座り込んで、しばし天井のドームを見上げていた。
ガランとした空間、幾何学模様の壁、異教徒でありながらもモスクの持つ雰囲気は好きだ。

モスクを出てホテルに預けていた荷物をひきあげて長距離バスターミナルへ。

マレーシアの長距離バスターミナルは、昔はどの都市も街中にあったのにジョホールバル、マラッカ、ペナン、KLなど郊外に移っているのが多く、イポーも例外ではない。

市内から郊外までバス路線とかよくわからない旅行者は結局タクシーを使うことになる。
出発時間の決まっている長距離バスや列車、飛行機だと時間の読めない路線バスは利用を避けるようにしている。

KL行きバスは15時定刻に出発。
高速道路を順調に走り、市内に入ってから渋滞はあったものの、ほぼ定刻どおりにKLに到着。

バスはチャイナタウンの入り口で停まった。
ちょうどいい、ここで下車。

バスターミナルまで行ってしまったら、ここまで戻るのが手間である。
今日の目的地はクアラ・ルンプール鉄道駅にあるヘリテッジ・ホテル。

ここもイポーのホテルと同様、駅構内にあるステーションホテルである。

この駅は、以前はKLの中心の駅だったのだが、今は一駅隣のKLセントラルが中心駅となり、ここはローカル列車のみの発着駅となってしまい、とても寂れてしまっている。

アラベスク様式のとても美しい駅で全盛期を知っているだけに、ちょっと寂しい。

ホテルも駅の衰退に合わせるように寂れた雰囲気である。

BARなどもすべて閉鎖している。

荷物を置いて、一駅列車に乗ってKLセントラル駅へ。

明日のシンガポール行きの夜行列車のチケットを購入、う〜ん上段しか空いていなかった。
これで今日の予定は終了。

さてゴハン食べようとチャイナタウンに行った。
ここは変わらず賑やかだ。
どこで食べようかなと歩いていると、あれっ?
「こんばんは」と声をかけた。
むこうも「あれ、こんばんは」と返事をした。
ペナンのヘビ寺で会ったIさんであった。
彼女はチャイナタウンのホテルに泊まっているとのこと。
KLでもチャイナタウンは旅行者の集まる場所で狭いエリアなので会っても不思議ではない。
「晩ゴハンは食べられましたか?」と尋ねると
「いえ、これからです。」
「じゃあ、ご一緒にいかがですか?」と軽く誘ってみた。
「いいですよ。私も話し相手がほしかったところです。」


どこにしようかなと歩いていたら、客引きしていた店員が「おまえはミャンマーに行っていたのか。おれはミャンマーの出身だ。」
私のTシャツを指差して話しかけてきた。
その時、私は2年前にミャンマーで買ったビルマ語のアルファベットがプリントされたTシャツを着ていた。
店員を見ながら2年前のバガンのホース・タクシーの運転手のリンを思い出した。
そいえば彼もマレーシアに出稼ぎに行っていた、と言ってたっけ。
「うん2年前にヤンゴンとバガンに言ったよ」と返事すると嬉しそうにテーブルをあけてくれた。
まぁ、悪い店じゃないだろう。

サテーなど何品か注文してビールで乾杯。
会話の内容なんて、ペナンで会った時にかわした話の延長でたわいも無い話である。
その時、となりのテーブルで景気良くビールを飲んでいたインド人4人組が話しかけてきた。
彼女が自分がインドに行った時の話を始めて、そのメンバーのうちの一人の出身地に行ったことがわかると一気に話が盛り上がった。

「あなた達に子供は何人いるんだ?」なんて答えようが無い質問も適当に相槌うって、にしても彼らはよく飲むわ。
賑やかで楽しい晩ゴハンとなった。

店を出てドリアン売りの屋台に行くと、店の兄ちゃんが、やはり私のTシャツを指差して「俺はミャンマーの出身だ、おまえはミャンマーに行ったことがあるのか?」という会話になり行ったことがあるというと喜んで、「じゃあ、美味いドリアンを選んであげるよ。」と商品を選別始めた、そして一つを割ってダメだ、と真剣に選んでくれている。
3つ目で納得して勧めてくれた。

今までドリアンは何度も食べたが、こんなにコクがあって甘いのは初めてたべた。
「ほんとに美味しいよ。ありがとう。」と言って代金を払うと、その1個分の代金しか受けとらなかった。
「ミャンマーに行った人だからな。」と笑って答えてくれた。
Iさんは次はマラッカに向かうという、「私はシンガポールなので、もう会うことも無いですね、気をつけて旅をしてください。」と挨拶してわかれた。


ホテルに戻った。
駅や向かいのマレー鉄道の本社ビルがライトアップされている。

11年前は、夜行列車が発着して駅前も深夜まで賑やかだったのが人も少なく寂しいものである。
旅も終盤、明日の夜には夜行列車に乗ってシンガポールへ。


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