洞窟寺院めぐり



深夜、人の気配で目が覚めた。
それも大勢の人が廊下を歩く音が聞こえる。
大きな声で歌っているヤツもいる。
私の隣の部屋は何人もの人が出入りするのか扉を開け閉めする音がひっきりなしにあり、人の声がしている。
「なんなんだよー、こんな夜中に。」と思いつつも疲れているし起きるのも面倒なので騒音に目をつぶって何とか寝てしまった。

そして朝、メガホンのサイレンの音が響き渡った。
何度も鳴らしている。
「どこのどいつだ、朝っぱらから!」と文句を言おうと外に出たら100人以上が朝食を食べに集まっている。

朝食集合のためにメガホンのサイレンを鳴らしている。
これだけの人が泊まっていたんだ。
いったい、どういう集団なんだ?
年齢バラバラ、男女もまぜこぜ。
リーダーらしき人に声をかけた。

「うるさくて申し訳ない。我々はマレーシア独立50周年を記念して50台の車で2ヶ月間でマレーシアの半島部分を一周するコンボイなんだ。昨日KLを出発して、今日はペナンに向かうのだ。」
コンボイとはまた大げさなとは思ったが、普通はキャラバンでしょ。
コンボイってトラックの集団か護送船団という意味なんだけどな。

駐車場を見るとボンネットや屋根にマレーシアの国旗をつけた乗用車やバンがびっしり停まっている。
どうみてもキャラバンだよ。
フロントの横にも小さなボードに「Welcome ○○○ convoy 18.19/8/2007」というチラシが貼ってある・・・昨日チェックインの時まったく気がつかなかった。

列車で来なくて良かった・・・午前2時についたら部屋がなかったかもしれない。
リーダーは、私が文句を言いに来たのかと思ったのか、丁重に謝ってくる。
まぁ文句を言いたかったのもあるが、どんな団体なのか知りたかったというのもある。
9時頃一斉に出発していった。
ふぅ、やっと静かになったよ。

イポー駅の切符販売所は、1日上下1本づつしかないためか販売所が見当たらず駅を行ったり来たりしてやっと隅の一角で見つけた。
売る気は無いな・・・ほんと。
今日は日曜日、たしかペナン発15時の列車がある日、イポーは19時発のはず。
「KLまで2等車で」というと「満席」とつれない返事。
仕方がない、やっぱりバスか。
バスだとKLに約3時間で着くので、午後の遅い時間のバスで行こうか。

さて午前中どうするか。
いくら静かになったとはいえホテルにいても仕方がない。
イポーって何があるのかというとガイドブックには洞窟寺院が3箇所紹介しているだけ。ここは鉱山を発見して大きくなった街なので歴史的な建築やリゾートというのは無い。
昨日もそうだったが中心部や公園を歩いてもひとけが無いので歩いていてもさほど面白いではない。
洞窟寺院めぐりでもするか。

バスがあるとガイドブックに書いてあるのだが、バス停がどこかが見当がつかない。
駅前なのにバスもタクシーも乗り入れていない。
深夜に一日一往復の列車では客も来ないでしょう。
たまたま一台のタクシーが客を乗せてやってきた。
また古いベンツのタクシーだ。
何キロ走っているのだろう。
運転手も年寄りでポンコツだぁ。

英語もまったく通じない運転手に、「ペラ・トン」「サン・ポ・トン」」など言っていたら、やっと通じたようである。
料金交渉はしなかったが、そんなにボルこともなかろうと車に乗り込んだ。
とりあえずガイドブックに並んでいる順番で「ペラ・トン」へ。
昨日の高速バスの来た方向、ペナンのほうに戻って約15分。

派手な色彩の中国寺院に到着。
門をくぐると洞窟。

岩盤をくり貫いたのではなく天然の洞窟を寺院にして仏を安置している。

中国寺院独特の派手な色彩のせいか安っぽい遊園地に来た気分でありがたみが全く感じられないのは困ったものである。
奥に行くと岩盤に刻んだ上に登る階段がある。

ここでお賽銭を入れると門番がゲートを開けてくれた。
けっこう高い場所まで続いていて岩盤を抜けて外に出るようになっている。
洞窟を抜けると高台になっており市内が一望できる。

イポーはもともと鉄鉱石の発掘で大きくなったで、それまで一寒村にすぎなかった町である。 

KLとペナンと比較してマレーシア第3の都市と言われても、人が多いというか町の規模が大きいとか感じない。

さて次の洞窟寺院はサン・ポ・トン。

今度は北から南へ約20分。
市の端から端へという距離。

こんな移動、車だから20分でいけるけど、バスなんか使ったら朝一箇所、午後一箇所いったら終わりだな。

これは手前から3つ寺院が並んでいて、家族連れも多い。

寺院というよりテーマパーク化している。

猿も多く、みんなが餌をあげたりしている。

ちょっと雰囲気違うなぁと歩いていたら一番奥の寺院に行くと、多くの信者の祈り時間であった。

経をとなえ熱心に仏像に祈りを捧げていた。

そしてその寺院の洞窟の天井は長年のろうそくの煤のせいか黒くなっている。

階段を上がると、古い洞窟の小部屋があった。ここも祈りの部屋だったのだろう天井が煤けている、ただ今は使われていないのかコウモリの糞などが積もったままである。

待たせていたタクシーで三つ目のケ・ロッ・トンへ。

ここに行くのには結構手間どった。
先の2つほど有名ではないのか運転手も結構迷っているし、案内標識もなかなか見つからない。
新興住宅地の中を抜け、対向車のすれ違えないほどの細い道を行き、なんとかたどり着いた。
なんとなく「新しい」という感じの寺院である。

ここも一通り回って、もう洞窟寺院はしばらく良いや!
春から夏にかけて、しょうもないトラブルや理不尽は出来事が続いていた。これだけ寺院を回ってお祈りしたので、厄が落ちてくれたらうれしい。

そろそろホテルに戻ろう。


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