ナツメヤシと海


話は前後するが、日没前、街中で撮影をしていたらホテルの近くで酒屋を見つけた。「酒屋なんてあるんだ。」
店内に入ってみると、普通の酒屋。
ビールからウィスキー、ワインまで日本の酒屋と変わらない品揃え。
ビール一缶、一番安い銘柄のアムステル350mlだと0.5JD(85円)。
「安い。」と思ったら、ここは非関税区域、ナルホド。
昨日の高いビール代で頭をかかえていたので、早速買った。
外から商品が見えないようにするため黒いビニール袋に入れて渡された。
またアラブ人でもビールのケース買いしている人も多く見かけた。































このとき「JORDAN RIVER」という銘柄のヨルダン産のワインを見つけて買おうかどうか迷ったがフルボトルなのであきらめた。
ヨルダン川といえば旧約聖書にも出てくるガリラヤ湖と死海を結ぶ川。
その名前のワイン、どんな味か飲んでみたかったのだが、レストラン等には持ち込めないし、明日アンマンに戻るので飲み残しのボトル持って歩くのもなんだし。























































この後、このワインを見かけることがなく「あの時買っておけば良かった。どんな味だったのだろう」と後悔することになる。

旅行前に「羊の肉塊をぶら下げているレストランは美味しい。」と教えてもらっていた。晩ゴハンは、そういう店を選んでシシケバブとチキン・ピリヤーニを注文。
ピクルスやオリーブが出てきて「あ〜、ビールが欲しい。」と言いつつセブン・アップを飲んでいた。
出てきた2品はとても美味しかった。
シシケバブは焼きすぎの店が多いのだが、焼き加減が絶妙で脂肪の甘さがフワッとくる。「う〜ん、ワインが欲しい。」
食後、ホテルの部屋に戻って冷蔵庫に入れていたビールを持ち出して暗くなった海岸でプシュ!

涼んでいる人たちも多くいたが、ビールとは見えないから大丈夫としておこう。
月明かりに照らされた紅海で飲むのは良いものである。



















朝食後、ふたたび海へ。



















光の加減で昨日よりシナイ半島やイスラエルの住宅地がよく見える。







それに海の透明度が高いのもよくわかる。













中心部に戻って、山手に向かった。
そこにはパレスチナ難民キャンプがある。
ヨルダンにはパレスチナ難民キャンプが13ヶ所あり190万人が住んでいる。
テント村でなく普通の家だし、人々も普通に生活している。
パッと見た感じでは難民キャンプとはわからないというか、もう2世代、3世代とヨルダンという国に住んでいるので見分けはまったくつかない。
撮影はしなかった。



















トラブルを恐れたのではないが、ここは私が撮るところではない気がした。































20代の頃、中東戦争およびアラブ諸国とイスラエルの関係を報道、ノンフィクション、小説など漁っていたことがある。
イスラエルが正義、アラブが悪というイメージを持った時期もあったが、そんな勧善懲悪の単純な構造でなく旧約聖書の時代からの歴史、そして民族、宗教、政治が絡み合って今に至っている。
先にも書いたようにイスラエルと周辺諸国は平和条約を結び一応の平和状態ではあるが、イスラエルは内部にパレスチナ自治区をかかえ、隣国のレバノンとは紛争を繰り返している。
何が正義で何が悪なのか・・・解答は難しい。


















































昼過ぎ、ホテルに戻ると昨夕ホテルで会った日本人学生の3人(女1人、男2人)が食堂のテーブルで話をしていた。
私と目が合うと「こんにちは!」と挨拶そしてくれる気持ちの良い学生たちである。
聞こえてくる会話から。
「8月31日はイスラエルにいるし会えるよ。」
「私は、このルートで・・・」
というやりとりをしている。
今日が8月16日だから2週間先か・・・なんか、いいなぁ。

さて私はアンマンに戻るべくバスターミナルに向かった。
もちろん、アンマンで飲むビールも買い込んで。

午後2時。
アンマン行きのバスは定刻どおり発車。
帰路の4時間も砂漠をずっと眺めていた。



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