デザート・ハイウエイ



ブツブツいいながらもよく寝た。
朝ゴハン、今日はバス移動なのでパン、ゆで卵と杏ジャムとチーズを昼の分も確保して、飛行機に備え付けてある通称「ゲロ袋」に入れた。

この袋けっこう重宝するのでいつも飛行機に乗ったときシートポケットからいただいてくる。
7時半、チェックアウト。

JETT社のバスターミナルに向かう。
今日は金曜日なので休日。
走っている車も少ない。

歩いていて気が付いたのだが、この通り沿いには政府の省庁の建物がいくつかあり、その前には必ず兵士が警備にあたっている。
政情は安定しているが各国の力関係は不安定な地域には変わり無いので、写真は気をつけよう。
昨日はたまたま運がよかったにすぎない。
橋を渡るときはやはり緊張した。













その先のバス会社のオフィスに到着したが2つオフィスがあってどちらへ行っていいのかわからない。
するとオフィスの前でタバコを吸っていたJETT社の運転手が私に声をかけてきた。
「どこへ行く」
「アカバだ。」
「ドメスティックはこっちだ。」と教えてくれた・・・感謝。

アカバ行きのチケットは9時は満席、10時30分発しか取れなかった。
アカバはヨルダンで唯一海に面しているリゾートでもある。
夏の金曜日であり、そのうえ非関税のエリアなので買出し行く人たちも多いということを教えてもらった。
なるほど、混んでいるはずだ。













旧ターミナルが移動したので、移動はJETT社のバスの利用がメインとなる。
他のバス会社も運行しているが、昨日の郊外バスターミナルとか南のターミナルとか、そこに行くまでが遠いというので使い勝手が良くないというのもある。

アンマンから南へ約350kmで約4時間。
バス代は8JD(=1,360円)。
まだ8時、バスが出るまで2時間半もある。
ホテルに戻る気はさらさら無いので、荷物をちょっと預かってもらってキング・アブドゥーラ・モスクを撮りに行くことにした。
そう昨日素通りされたモスクである。







出ると先ほどの運転手が「チケット買えたか?」と聞いてきた。
「買えたよ。ありがとう。」
「それは良かった。」と握手してきた。
歩いて10分ほど。







ブルーのタイル屋根がとても美しい。
お祈りの時間なので異教徒は入れない。
なので、撮るだけ撮ったら行くところが無い。
通行人が少ないせいか、軍人の姿が目立つ。
下手に写真を撮ると、昨日のようなことになりかねないので、バスターミナルに戻った。待合室でガイドブック見て今後のルートを考えていた。

実はアンマン−アカバ−ペトラの移動については何度もシミュレーションをした、その理由はペトラの章で。
結局、2日後のアンマン−ペトラの往復のバスチケットを買った。
英語がなかなか通じないのでチケットを買うのも苦労する。
10時過ぎ、アカバ行きのバスがターミナルに着いた。

バスを撮ろうとカメラを出したら、例の運転手が「気をつけろ。撮ってはダメだ。」と対面の建物を指差して言った。
見ると、対面は軍の施設で、目線の先には兵士が警備をしている。
気が付かなかった。
彼に「いや、バスを撮りたいだけだ。ありがとう。」と言った。
「それならノープロブレムだ。」

手続きが始まってわかったのだが、彼が10時30分のアカバ行きのバスの運転手だった。
バスは満席で定刻どおり出発。

アンマン市内を抜けて、バスはデザート・ハイウェイへ。
市内を抜けて砂漠の風景になじんだころ、ポツンと建物が見えてきた。
木が植樹されて、そこには監視棟が2箇所、塀で囲まれて、正面入り口のゲートには装甲車が配置され兵士が搭乗して監視をしている。
「刑務所か。こんなところで脱獄しても干上がるだろうな。逃げる時はヒッチハイクしかないな。」
やっぱり昨日の件が引っかかっている。

町は集落が見えてくると道路にハンプなどが設置してありスピードを抑えるようになっている。
また、集落ごとにパトカーも待機している。

私の乗っていたバスも2度検問で停められた。
延々と砂漠が広がっている。

砂の砂漠ではなく礫漠という風景が続いている。
生命を感じない風景。

飽きることなく外を見ていた。
バスは快調に走行している。

車内では水やチャイやサンドウィッチを販売するサービスがある。

私は朝食を例の袋に詰め込んだ昼食。

大きな涸谷など日本でみることのできない風景の中を走っていく。







砂漠の中の一本の道。













アカバまで着実に近づいている。
後30kmというところでバスが停まった、そこは税関だった。
ここからは非関税エリアになるので荷物の検査がある。







海が見えてきた。
砂漠の中に唐突に現れた海。
紅海。

15時前、バスはJETT社のバス・ターミナルに到着。
明日の14時発のアンマン行きの切符を買って中心部に向かって歩き出した。


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