シェリー酒を一杯








15時、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ到着。

タイル装飾の美しい駅を背におそらくボデガ(シェリー酒の蒸留所)があるであろうと思われる市内中心部に向かって歩く。







日差しはとても強く、日陰を選びながら歩いていく。

ほとんど人と会わない。







まだシエスタの時間。







一軒のボデガの前を通ったが門は閉まっている。
見学ができるボデガは2箇所である。













私は、その一つゴンザレス・ピアス社のボデガに向かっていた。
夕方からのツアーもあるのと、「ティオ・ペペ」ブランドはシェリー酒を飲まない私でも知っているブランドである。
約30分で到着。

次のツアーは17時から。













近くのバルで時間をつぶして、17時前10ユーロ払って待合室へ。







見学者用の待合室には、この会社を訪れたVIPの写真が飾ってある。
政治家、芸能人からF1ドライバーまで多くの写真があり、その中に日本の徳仁皇太子の写真もあった。
F1ドライバーではアラン・プロストやアイルトン・セナなど懐かしいドライバーの名前もあり、ちょっと嬉しくなった。
ヘレス・サーキットでF1が開催されていたときはスポンサーでもあったので、F1ドライバーを招待していたのだろう。













100人ぐらい集まっただろうか。
すごいなぁ。
スペイン語ツアーに参加の人は外に集合してくださいとアナウンスがあると8割が、そちらへ向かった。
残った20人が英語ツアーの参加者となる。

シェリー酒とは、このへレス周辺の三角地帯(エル・プエルト・デ・サンタ・マリア、サンルーカル・デ・バラメダ、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ)とその周辺だけで作られる酒精強化ワインである。
他の地域で作っても、原産地呼称統制法によって「シェリー」という名を使用することはできない。
「スコッチ」や「バーボン」と同じである。

ツアーは最初は貯蔵庫へ向かった。
シェリー酒の造り方などの説明を受けながら、広い貯蔵庫を歩く。







シェリー酒は積み上げた樽の一番下から酒を取り出し、減った分は上の樽から継ぎ足す。そして2番目の樽も減った分、その上の3番目の樽から継ぎ足す、3番目の樽は一番上の樽から継ぎ足すというように、古い酒と新しい酒がブレンドされ熟成される。
これは沖縄の泡盛と同じ熟成のさせかたである。







その後は、輸出している国の国旗を樽に描いたコーナーに向かった。













ボデガの敷地は広く、ここで最初スペイン語グループが乗っていたトレインに乗り換えて今度は酒精強化のためのブランデー醸造エリアへ。

















































そして最後はVIPにシェリー樽にサインをしてもらい、それを保管している貯蔵庫へ。
一つ貯蔵庫ではスペイン王室をはじめ膨大なサイン入り樽が積み上げてある。
一緒に英語ツアーに参加していた人たちは国のVIPを見つけては写真に撮っている。
ジャン・コクトーやパブロ・ピカソなど樽もある。













そしてツアーガイドのお姉さんが唯一の東洋人である私に、「日本のテンノウも来ましたよ」と、案内してくれたのが徳仁皇太子の樽だった。
天皇陛下ではないのだけど・・・1992年に来られていますねぇ。

私もスコッチやワインの蒸留所には多くいっているが、樽にサインなんて初めて見た。 それにしても、その樽はサインした人にプレゼントしたものなのか、樽だけで中身は出荷してしまうのかガイドに聞きそびれてしまった。
だってコクトーの樽で50年以上経っていますし、蒸発(エンジェル・シェアー)で減っていくばかりのはずだし。

貯蔵室の一角の柱に写真が3枚かけてある。
ネズミがシェリー酒を飲んでいる写真である。
ワイングラスまで梯子がかけてあり、そこに昇ってシェリー酒を飲んでいる写真・・・どうやって撮ったんだ。
一番下の写真なんて派手にフラッシュ光っているし。
カメラマンが待っていたわけでもないだろうし・・・ネズミが糸に触れたらシャッターが落ちる構造になっているとか・・・それにしても面白い写真。

蒸留所にはネズミはつきもの。
スコッチの蒸留所には生涯、公認で1000匹以上のネズミを取った有名な猫もいたぐらいだし。
で、その写真の下にはちゃんとネズミ寄せのセットが作ってある。
これだけ見学者がいれば出てこないでしょうけど。
シェリー酒とつまみの小麦もああるし。
夜な夜なシェリー酒を飲みに、酒飲みのネズミがやってきて千鳥足で帰っていく姿は見てみたいものだ。

1時間30分の見学が終わって試飲。
結構長かった。
そのテーブルで英国在住ヨルダン人母娘と一緒だった。







昨年、私がヨルダンに行ったという話をすると喜んで、話が盛り上がった。
アカバとペトラの間に村の出身ということでした、私が冗談で「ムスリムなのに酒飲んでいいのか?」と訪ねるとお母さんが「キリスト教徒よ」と笑って答えた。
そういえばチャドルしていなかったし。

シェリー酒の飲みながら携帯をだして電卓で計算してみた。
シェリー樽の容量は480Lですから蒸発分を考えずフルにあるとしてボトルに入れると666本取れる計算となる。
今日からシェリー酒党になったとして一生で何樽飲めるかなんて思いつつフィノ(辛口)とオロロソ(甘口)の2種類を交互に飲んでいた。
初めての味だけど、香りはよく知っている。

記念にシェリー酒のミニボトルを買って駅へ向かった。
夕方になり人が動き出した。
セビリアに着いたのが21時。

















































ホテルの前のバルでパエージャの晩ゴハン。





































食前酒にシェリー酒を一杯。



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