1枚の写真


1枚の写真がある。

撮影日:1986年12月29日午前9時頃。ガスが出ていて靄っている
撮影機材:Nikon F3 レンズ70~210mmf4
撮影データ:望遠210mm側を使用 絞りf4開放、シャッター速度 1/60
フィルム:コダカラー400
撮影場所:ネパール カトマンズ ダルバール広場周辺

今のデジタルカメラのように撮影データは記録されないし、メモも取っていたわけではない。
でも、この時のシチュエーションは撮影データを含めてよく覚えている。
この写真は、写真雑誌等で賞を取り、私の代表作の一つとなった。
また、この時のネパール行きは私の旅写真のスタイルを決めることとなった。

今でも全紙に伸ばして部屋に飾っている。

その時の旅行記は以下にアップしている。
神々の山へ初詣

一方、20歳代でこのような写真が撮れてしまったことにより、その後の旅写真において「この写真を超えること」が呪縛となってしまった。
この呪縛から解放されたの2003年フィレンツェでカップルを撮った写真であった。
実に17年という時間が必要であった。
その後、2006年のイスタンブール、2009年のセビージャ、2012年のマラケシュ、2015年のパレスチナで撮った写真が私の旅写真の代表作品となる。



フィレンツェ 2003年







イスタンブール 2006年







セビージャ 2009年







マラケシュ 2012年







パレスチナ 2015年

話はネパールに戻る。
その呪縛から逃れるには、やはりネパールに行かなければと思い込んだ時期もあったが、再訪がかなうことはなかった。
理由はいくつかある。
一つは、5月下旬から9月下旬までは雨季になる。このため写真を撮るのに制約がかかるのはもちろんだが、飛行機が飛ばないなど交通機関が動かなくなることもあり、夏季休暇に行ってもヒマラヤを見ることができないどころか、雨ばかりとなり、下手をすれば地方で足止めとなってしまう。
乾季となると、民間企業でまとまった休みが取れるのはGWと年末年始ぐらいである。GWは平日がからむので1週間連続というはなかなか難しく、年末年始は家族と一緒にいるようにしているため年度をまたぐ長期の旅は行かないようにしている。
また、2001年には王族殺害があり、治安が悪化し入国すら難しい状況になった。
そして2015年のネパール大地震でカトマンズなどの主要な建物が崩壊してしまい国の機能が麻痺してしまった。
そんなことが重なり、再訪する機会がないまま月日が経ったのである。

2017年に入ってから複数の方からそれぞれの目的でネパールへ来ないかというお誘いがあり、また30年前に一緒にネパールに行った知人の死などが重なった。
ちょうど30年の節目でもある。
そしてGWの休みの調整ができたこともあり、行くタイミングが合ったようである。
ネパールに呼ばれたかなという気がする。
個別の事象については、旅行記の中で触れていく。



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