ハロン湾クルーズ


ホテルの前のだだっ広い道路の歩道を歩いているのは私だけである。
それにしても暑い。








船着場に到着、昼はバスの中でバナナを2本食べただけなので空腹である、何か食べ物を買おうと売店をさがしていたら、オヤジが声をかけてきた。
やっぱり、予想どおり。
「ハロン湾クルーズに行きたいのか?」
「そうだ」
「何人?」
「私1人」
「それでは、そこでチケットを買ってください」と言われ、窓口に行きチケットを買った。
170,000ドン(約900円)。
そのチケットをオヤジに見せると、船に案内してくれた。
「このチケットはハロン湾に入るためで、船に乗るには200,000ドン必要である。」
なるほど、さっきのチケットはハロン湾への入域料であり、船賃は別途必要なのか。
ミャンマーのバガン、カンボディアのアンコールワットと同じである。
ボラれてるのか、そうでないのかとっさに判断はできなかった。
14時出発なので、あと5分である。
空腹で3時間以上船に乗るのもどうかと思ったが、このタイミングを逃すと今日はハロン湾クルーズができない可能性がある。
200,000ドン払い船に乗り込んだ。
船室はすでに満席である。



こちらは入域料







後で写真で確認すると確かに「EXCURSION」と「BOAT」に分かれている







1階の船室は満員、土産物まで売っている







私の席はデッキチェア

私は上部のデッキの席に案内された。
日陰で涼しいし、写真を撮るにはこの場所のほうが良い。
やはり1人でも多く乗せて稼ぎたいのであろう。







船長が父親、操船は息子2人、娘は客案内という家族で経営している船である。
14時に出港。
ハロン湾はやや靄がかかっているが、良い天気である。







船が動き出すと、下から人が上ってきた。カップル、家族連れなどである。
言葉からベトナム人である。当然ながら外国人にとっての観光名所は地元の人にとっても観光名所である。
私が日本人だとわかるといろいろ話しかけてくる。
カップルや家族連れの写真を撮ったりしていると、老人から声をかけられた。
その老人は英語ではなくベトナム語であったが、おかまいなしに私にタブレットに映しだされたホームページの画像を見せ始めた。
何を見せたいのか分からなかったが、島があり、滑走路などの完成予想図などが出てきた時点で何を意味するのか分かった。
南沙諸島(スプラトリー諸島)についての中国の開発のホームページである。
ベトナムや中国、フィリピンなど領有権でもめている地域である。
「スプラトリー・アイランズ?」と尋ねると、たぶん意味がわかったのだろう、老人は大きくうなずいた。
そして私に向かって激しく話し始めた。
言葉は分からなくても、南沙諸島はベトナムのものであり、中国のものではないという内容であることは推測がつく。
日本が尖閣諸島の件でもめていることを知っているのか知らないのかはわからなかったが、日本人である私に話したかったのだろう。
はるか昔からベトナムと中国は仲が悪いが、これも簡単には解決しない問題である。
一通り話をしたら満足したのか、老人はタブレットを閉じて、家族と話し始めた。









老人のタブレットには、中国軍の空港完成予想図が












船は20分程度で向かいの島、ダウゴー島に到着。
ここはティエンクン洞という大きな鍾乳洞がある。
他の船も含めて続々と上陸してくる。
他の船はツアーガイドがいて先導しているが、私の船はみんなバラバラである。
船は鍾乳洞の出口に廻船されるので、船を間違えないよう写真に撮った。
観光客の列の後ろについて階段を上っていく。
鍾乳洞はとても大きな空間である。
ともかく人が多い。
鍾乳洞内は派手な色でライトアップされている。
あちこちから日本語での解説も聞こえてくる。
GWだし、日本人観光客も多いのだろう。
そのためか神秘性も何も感じることができない。
20分ほどで鍾乳洞を出て、船へ。



















































自分の船を見つけ出し、全員の乗船を確認したら出港。
いよいよハロン湾の奇岩クルーズへ。
船は島の間の水路を進んでいく、最初のポイントは香炉島、ベトナム紙幣にも使われている。
確かに香炉の形をしている。







































香炉島












次に見えてきたのは闘鶏岩、2羽の鶏が向かい合っている形である。
言われて見ればそのとおりかな。
クルーズの時間が重なっているので、この岩の回りも何隻も船が取り囲んでいる。



闘鶏岩


















そしてゴリラ岩、ゴリラの横顔らしい。
言われてみれば、そう見える。
ハロン湾クルーズは、鍾乳洞、香炉島、闘鶏岩、ゴリラ岩を回るルートが約3時間強、ツアーのほとんどがこのルートである。
これからさらに遠方に行く6時間、8時間コースは船に宿泊するコースがある。
遠くにバイチャイ橋を見ながら港へ戻る。



ゴリラ岩・・・確かにゴリラの横顔に見えないこともない



































クルーズを終えてホテルに向かって歩いていると道路と海岸の間が全てフェンスで遮られており海岸に出ることができない。
また、海岸沿いレストランなどは閉店状態である。
その中で1ヵ所だけ海に向かって開けた道があり、警備員が立ちバイクや人を誘導している。多くの人がゾロゾロと歩いていく。
「なんだろう?」と思い、私もその列の後ろについて歩いていった。

5分程歩くと砂浜に出た。
それは天然のビーチではなく人工ビーチである。
ほんの100m程度の海岸線に砂をいれてビーチとしている。































ともかく凄い人、そして浜から10m程度しか泳ぐことができない、というか水につかるというのうが正しいのか。
たぶん、岩場の海岸を無理に砂浜に改造したため、このようなことになっているのだろう。
隣の海岸を見ると重機が海岸線をならしている、おそらくここら一帯もビーチにしてしまうのであろう。
ハロン湾は世界遺産に指定されているが、そのエリアは海岸から一定沖に出たところからなので海岸は世界遺産に含まれていない。



ビーチの横はこんな状態

これで海岸がフェンスで仕切られている意味がわかった。
ぜんぶ砂浜に改造してしまうのだ、そしてリゾートホテルを誘致する。
3年前にダナンで見た風景と同じである。
しかし荒っぽいやりかただ。
だからビーチ沿いのレストランなども廃業したのである。
なんとも興ざめな光景である。







夕食はシーフードと思い、ホテルから港とは逆の東に向かって歩き始めた。
こちらも延々とフェンスが続き、海が見えない。
道路沿いにあるのはホテルとカフェと土産物屋ばかりである。
地元の人の生活が見えない。
また、海岸沿いにあるはずのナイトマーケットも工事のため閉鎖されている。
お目当てのレストランでカニやシャコなどを注文、これはとても美味しかった。































ホテルに戻る途中、あの海岸からは続々と人が出てくる。
出歩く場所も無いためホテルのプールで泳ぎ、その後、ホテルのBARで一杯。



















明日、夕方にハノイに戻るつもりだったのに、どうしようか。



アオザイの少女達

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