マグダラのマリアと聖母マリア


オリーブ山に向かう。



















エルサレム初日の夕方に、山頂と聖母マリア教会に行ったのみである。
山頂まで上ると、すでに多くの観光客が来ている。
日本からイスラエルを見ると「危ない国」であり観光で行くというイメージが薄いが、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地であるため、想像以上に観光客が多い。
人種も様々である。



オリーブ山からエルサレム旧市街を望む。金色の屋根は岩のドーム







斜面一面は墓所













マグダラのマリア教会







手前がゲッセマの園
























山頂から、ゲッセマの園へ。
ここはイエスが祈りのため、頻繁に訪れていた場所である。
最後の晩餐の後、最後祈っていたとも伝えられている。
エルサレムから、もっと遠い場所をイメージしていたが、旧市街は目と鼻の先である。






















コートジボアールからの巡礼団












マグダラのマリア教会へ。
ここは週2日のみ入場ででき、今日はその日である。
丸い屋根が特徴のロシア正教会である。
敷地に入ると、ロシア正教ということもあり圧倒的にロシア人が多い。
この教会はイエスの付き人であったマグダラのマリアを祭っている。
マグダラのマリアは、娼婦であったが、イエスによって改心し同行するようになったと言われている。
ところが娼婦であったということも聖書に直接書かれているわけではなく、「ルカによる福音書」の記述から娼婦であったであろうと推察されているのである。
また、マリアはイエスの妻であるという説もある。古代にはこの説を唱えていた宗派もあったが、中心の宗派(カトリックなど)から異端であることで迫害され抹殺され、この説は
封印された。
ただ、近年はこの説の研究が進み、徐々に姿を表している。また、この説を元にした小説や映画で知られるようになっている。
現在は、聖母マリアと並び聖女として列せられている。
教会内は撮影禁止である。













イエスの死後、ローマ皇帝に処刑の違法性を訴えているマリアの大きなモザイク画が飾られている。
ロシア正教の教会に入るのは初めてだが、祭壇があり祈る場所であることは同じである。













万国民の教会。
ここは宗派の関係がない教会である。
ちょうどミサが終わった時間であった。
宗派が関係ないためか、多くの民族が参列している。

























































こちらは初日に行ったマリアの墓の教会













何台も観光バスが止まっている






オリーブ山を一通り回り、次は、旧市街のシオン門の近くにあるダビデの墓と最後の晩餐の部屋、マリア永眠教会へ。
旧約聖書に登場するダビデ王の墓とイエスの最後の晩餐の部屋が同じ敷地内にあるのかは不明であるが、イスラエルを旅していると聖書に関係する場所は必ずと言っていいほど遺跡として残っている。



エルサレム考古学公園






ジオン門の前から100m程で最後の晩餐の部屋へ。
レオナルド・ダヴィンチの『最後の晩餐』のイメージが強いため、横長の部屋で窓の外には山が見えていると思っていたが、単なる広い空間である。
おそらく、囲んでの晩餐であったであろうから、この部屋なのだろう。



ジオン門








ジオン門の出口、多くの車が右下の岩の出っ張りにバンパーをぶつけていた



















ここが「最後の晩餐」の部屋

次は隣のダビデ王の墓へ。
この2つが隣り合わせというのも謎であるが、聖書の記述からここであろうと特定されている。
ただ、この1週間、聖書に関する場所を訪ねているためか感覚が麻痺している。
特別な感情を持つこともなく墓に手を合わせて、この場所を離れた。































その隣がマリア永眠教会。
ここにマリアが眠っているわけではなく(オリーブ山の麓にマリアの墓の教会がある)、マリアを祭るために近年建てられた教会である。
聖母マリア信仰。
根拠はないが、私が行った国ではフィリピン、スペイン、イタリアなどでカトリックの国々が多い気がする。





















地下に降りると


















午後の遅い時間、そろそろLRTが動き始めたかなと思い新市街に行ってみたが、全く動いている気配がない。
新市街で行きたい場所があるのだが、LRTもバスも動いていないとなると行く手段がない。



まるでゴーストタウン













ヨルダンのペトラ遺跡への日帰りツアーがあることに驚き
今度利用してみたい


シャバットによる交通機関の停止などわかっていたが、旧市街を優先したために新市街の施設には行くことができず仕舞いになってしまった。
明日の午後には空港に向かわなければならないため、午前中だけで行くことは難しいであろう。
特に第二次世界大戦でナチスにより虐殺されたユダヤ人を慰霊する目的で建てられた博物館、ヤド・ヴァシェムには行ってみたかった。
昨年、ポーランドに行きアウシュビッツに行き、人類の負の歴史について考えされられた。
そのイスラエル側の施設に行ってみたかったが、スケジュールの組み方を間違えてしまったが、初めて来る国で最初から全てを知っている訳ではないため仕方がないことである。







旧市街のイスラム教徒エリアに戻ると、こちらは活動が始まっていた。





































夕食は旧市街のアルメニア教区にあるアルメニア料理店へ。
旧市街でビールやワインを飲みながら食事ができる数少ない店である。
トルコやジョージアに囲まれた小さな国である。
初めて食べるアルメニア料理でワインを飲みながら、宗教のこと、民族のこと、平和について考えていた。





















レストラン入り口


この国に来ると、よりこれらのことを強く考える。
マシンガンを持った兵士が至る所にいる状況は日本人にとっては異質の光景であるが、この国にとっては「国の安全」が何物にも優先する事項であり、これが日常である。
シリア、イラク、レバノン周辺諸国は内戦やISのため混乱をきたしている。
また、パレスチナの関係も硬直した状態で、この先も解決の見込みがたたないのが現状である。
平和であってこそ旅ができるのである。



















明日は帰国。



聖地と火薬庫

表紙へ

海外旅行目次へ