聖地と火薬庫


日曜日。
一週間前の日曜日の早朝にエルサレムに到着したのである。
たった一週間にもかかわらず、刺激が多く、考えさせられる旅であった。

























フライトは16時30分だが、12時30分に空港に着くように11時45分にホテルにシェルート(乗り合いタクシー)を予約した。
イスラエルの出国審査がとても厳しいため人によっては別室ですべての荷物をチャックされる。(入国よりも厳しいと聞いている)
フライトの一切の考慮はなく、検査に手間取って乗れなくても責任を取ってはくれない。
そのために空港には3時間前にチェックインするのがルールとなっている。
それでも、さらに1時間の余裕を持たせての手配をした。
飛行機に乗るまで一日仕事である。
こうなると遠出はできないため、朝のミサに参列するため聖墳墓教会へ。
ミサに参列し帰国までの旅の安全と世界平和を祈らずにはいられなかった。































土産物を買いホテルに戻り荷造りを行う。
荷物を開けられてもすべて説明ができるようにした。
薬には付箋で英語名称を貼付しておいた。
土産物は何所で買ったか、旅の移動手段もすべて説明できるようにした。
写真のデータは用心のためクラウドでバックアップしておき、SDカードはロックをかけ、SDカードケースに入れずに別に隠した。
カメラにはデータをコピーしたカードを入れておいた。
またiPadにバックアップしてある写真で兵士の写真などは削除しておいた。
軍の施設などは撮っていないつもりだが、何がひっかかるかわからない。
iPad、クラウド、コピー、メインデータと4か所に保存したので大丈夫だとは思うが、いつになく神経質になっている。







11時40分頃ホテルのロビーで待っていたら、フロントのお姉さんより、「シャルートはホテルではなく、この先の道を曲がった所で待っていて」と言われた。
来た時に降ろされた場所であろう。
そこで待っているとシャルートはすぐにやってきた。
相乗りなので予約した客を一人ひとりピックアップするため、到着する数分前に電話をしている。
私が乗った時は3人だったが、順番に拾い12人で満席なる時はかなり時間が経っていた。
結局、このロスで空港に到着した時は13時30分、3時間前であった。
余裕を見ていたつもりが、結構時間がかかったので、私は少々焦っていた。
ともかく、チェックインカウンターに並んだ。

航空会社のカウンターと列の先頭の間に質問する軍人が数カ所立っており、一組ずつ順番に質問に答えて、カウンターに向かっている。
見ている限り時間を取っている人も、別室の人もおらずスムーズに流れている。
私の番になった。
譜面台にクリアファイルが置いてある。
軍人が私に「Japanese?」と聞いてきた。
「Yes」と答えるとクリアファイルをめくり、日本語のページを見せた。
日本語で質問が書いてあり、回答を選択肢から指さすのである。
「イスラエルに来た目的」「何所に行ったのか」「イスラエルに友人はいるか」「誰から荷物を預かっていないか」など、順番に指差して回答していくと終了。
ものの1分である。
入国審査の時も拍子抜けしたが、出国審査までこんなに簡単とは。
あれだけ身構えてきたのに、でも、簡単なことはありがたい。
その後、チェックインもイミグレーションもスムーズに流れ、30分もかからず搭乗ゲートに到着した。
後で知ったのだが、私が旅した時期は周辺諸国との関係が比較的平穏であったため、出入国が簡素化されていたが、秋以降はパレスチナやシリアとの紛争で、また厳しい出入国検査になっているとのことである。



















16時30分ルフトハンザ687便は20分程度遅れて離陸、ミュンヘン空港に到着は遅れたぶんそのままで20時20分に到着、羽田便は21時25分。
乗り継ぎは1時間5分。
往路でもそうであったが、最近の航空券は乗り継ぎが短い時間でも発券するため20分程度の遅延が発生すると、一気に乗り継ぎがタイトになる。
何時間も空港で待つよりはありがたいが。
ルフトハンザ便が着陸する時、私が搭乗するANA便が見えたが、ブリッジがかなり離れている。
初めての空港であるため配置がよくわからない、カフェでドイツビールを飲んでいる人を横目に見つつ、搭乗ゲートに急いだ。
なんとか30分前にゲートに到着。







翌日、羽田に到着した時、私の名前が呼ばれた。
「ogawa様の機内預けの荷物はミュンヘン空港で積み込みが間に合わず、別便で送られます。申し訳ありませんが、手荷物受け取りカウンターで申し出ていただき手続きをお願いします。」
私は間に合ったが、荷物は間に合わなかったのだ。無理もない。
機内預けの荷物は翌日、自宅に無事届いた。

イスラエルを離陸するとき、いつものおまじない「そうさ、また来るさ」と呟いた。
聖地でもあり、中東の火薬庫でもあるイスラエル
再びこの国に来るためには、この国の情勢が安定しないと難しい。
繰り返すが旅は平和であってこそできるものである。
1日も早く再訪できるように、そして世界中で起こっている紛争が1日も早く終わるように願っている。

2015.8.8~8.17

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