Road To Israel


2015年8月8日23時30分、テルアビブ・ベングリオン空港。
「滞在目的は?」
「観光」
「何日滞在予定だ?」
「1週間」
「何処に滞在する?」
「エルサレム」
検査官はパスポートをOCRで読み込ませ、滞在許可書と一緒にパスポートを返してきた。
その間、わずか1分あまり。
「えっ、これで終わり?シリアの入国記録あるのに!?」
イスラエル入国に際して、パスポートにシリアやレバノン、イランなどのアラブ諸国の入国記録があると、その国に行った理由など質問が浴びせかけられ、場合によっては別室で調べられると聞いていた。
ネットで体験談や旅行記を調べると、入国審査が厳しかったという話がいくらでも出てくる。
イスラエルに渡航経験のある友人からは「ogawaさんは英語のやり取りで、面倒くさくなると適当に返事する癖があるけど、イスラエル入国ではそれは絶対にダメ。それと、パスポート取り直したほうがいいですよ。」とアドバイスをもらっていた。
パスポートは、有効期限が3年残っているため更新をしないことにして、シリア入国の理由を尋ねられたら「パルミラ遺跡に行くため」とシミュレーションをして準備をしていた。
それが拍子抜けである。
予定通り朝になったら移動することにして、それまでは空港内で待つことにした。



イスラエルの滞在許可証
イスラエルは2013年より出入国スタンプは押印しない








2008年のシリアのVISAと出入国スタンプ
上の丸い出入国スタンプはトルコ














とりあえずここで朝まで

イスラエル、ベトナムと並んで高校生のころから関心を持っていた国である。
ただ長年、この国の情勢を考えると行くことに躊躇していた。
この夏、当初は妻とイタリアに行く予定であったが、妻の仕事の調整がつかずキャンセルした。
結局、例年通り1人旅となった。
何処へ行こうかと調べていたら、テルアビブまでの航空券が普通に買えることがわかった。(戦争をしているわけではないので当然であるが)
外務省の渡航情報でもパレスチナやガザ以外は「十分注意してください」レベルである。これはバリ島やバンコク、インドと同じである。
1年前は、ガザ地区と戦闘状態であったため警戒レベルは一段高くなっていたが、今は情勢が落ち着いている。
イスラエル、行けそうだ。



外務省のイスラエル渡航情報(2015年8月)
黄色が「十分注意してください」
オレンジが「渡航の延期をお勧めします」
北のオレンジはレバノン国境
中央オレンジがパレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
左オレンジがパレスチナ(ガザ地区)
パレスチナでもベツレヘムや国道90号線は黄色である

8月8日8時、大阪(伊丹)空港、国際線乗り継ぎカウンター。
「お客様は、羽田経由フランクフルト、フランクフルトからテ、テ・・・なんと読むのでしょうか?」
「テルアビブ。イスラエルです。」
「失礼しました。お荷物は最終目的地のテルアビブまでお預かりします。」
クレイムタグには「PRIORITY」「HOT」のタグをかませてくれた。
羽田での乗り継ぎが80分、フランクフルトでの乗り継ぎが75分のため荷物が積み残されないよう手配である。感謝!
乗り継ぎ時間が短いのはありがたいが、ディレイが発生すると結構厳しい時間でもある。

8月8日10時10分、羽田空港。
国内線から国際線へ空港内シャトルバスで移動。これが結構時間がかかる。
幸い出国審査はガラガラ。
10時50分に109番ゲートに到着。
まもなく搭乗開始時刻である。
NH223便 11時30分、出発時刻。
出発する気配がないなと思っていたら、シートに不具合があり、その申請のために出発が遅れているとのこと。
どうも意味がわからない。
モニターが映らないとか、リクライニングが倒れないとかだろうか?
修理ではなく申請というのは、それを申請しないと離陸できないということか。
結局、離陸したのは12時10分。
お詫びのアナウンスがあり、フランクフルトの到着時刻は当初の16時40分の予定が17時頃になるとのこと。
テルアビブ行きは、17時15分搭乗開始、17時55分離陸予定である。
乗り継ぎの持ち時間が55分になってしまった。
広いフランクフルト空港、ターミナル移動となったらほとんど時間がない。
CAに乗り継ぎの旨を説明したところ、すぐ理解をしてくれた。(彼女達の仕事では日常茶飯事のことだろう)



空港内連絡バスは大廻りするため意外と時間がかかる






8月8日16時50分、フランクフルト空港。
着陸前にCAが私のところにきて「到着しましたら地上係員が待機しています。その係員の指示に従ってください」と伝えてくれた。
16時50分着陸、ブリッジ到着は17時。
登場ゲートにはいくつか方面のフライトで係員が待機していた。
私は「テルアビブ」とカタカナで書いている地上係員のところへ行った。
私以外にもう1人、おそらくユダヤ人であろう男性。
その地上係員は日本人女性であった。制服からするとルフトハンザの係員であろう。
「テルアビブ行きですね」と日本語で話しかけてきた。
「そうです」と答えると、横を歩いていた乗客の何人かが私を見たり、「テルアビブか」と呟いて去っていく人がいた。
幸い同じターミナルであるが、結構離れている。
「イスラエルにはお仕事ですか?」
「いいえ観光です。」
「観光ですか・・・」
たぶんこの方は日本からのフライトの乗り継ぎなどを案内したりしているのだろうが、テルアビブ行きの日本人を案内することはめったにないことなのだろう。

8月8日17時15分、フランクフルト空港イスラエル便搭乗ゲート。
搭乗開始時刻にゲートに到着。
他へのフライトは一括で手荷物検査をして、その先の搭乗ゲートに向かうパターンだが、テルアビブ便は専用搭乗口で靴の裏までチェックをおこなう。
そのため、搭乗ゲートについても手荷物検査で多くの人が待っている。
案内してくれた地上係員も「テルアビブ便は手荷物検査が厳重なのです。この先もお気をつけて」と挨拶して去っていった。
結局、ルフトハンザ690便は40分遅れの18時30分、フランクフルト空港を離陸した。
もちろん遅れた理由の説明はなかった。
23時30分、テルアビブ、ベングリオン空港到着。


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