チェンマイ駅にて


最終日。
今晩、19時20分のフライトなので、ほぼ1日使える。

どこに行きたいという目的もないので、チェンマイ駅に行くことにした。
朝だとバンコクからの夜行列車が到着するので面白い風景を見ることができるだろう。
かつてバンコクから各地へ夜行列車で移動したので、私にとって「夜行列車の旅」は旅の原体験でもある。
その雰囲気と人が行きかう風景が好きで、長距離列車が到着する駅には、列車に乗る目的がなくても行くことが多い。









お供え物屋







駅までホテルから約3km、散歩がてらちょうど良い距離である。
ホテルを出てピン川を越えて、北東に向かう。
駅に向かう道を歩いていると、大きな市場の前を通りかかった。
「ここなら見つかるかもしれない」と思い、駅に行った帰りに寄ることにしよう。

























その先で写真屋の前を通りかかった。
主人は奥で撮影をしている。
なにげなくショーケースを見てみると、引き伸ばし機が一台置いてある。
見覚えのある機械である。
よく見ようと無意識に店に入った。
店主は私に気づき、「何か用か?」と声をかけてきた。
「すみません。この引き伸ばし機、昔、私が使っていたのと同じモノで、ちょっと見ていいですか?」
「どうぞ。もう長いこと使っていないよ。」と言って、もとの作業に戻った。
藤本写真工業社製、ラッキー90M。
もう30年以上前のことである。NikkorEL50mmf4という引き伸ばしレンズを装着して使っていた。
20代半ばにこの引き伸ばし機を含め写真現像・焼き付けのための道具一式を友人の勤務していた高校の写真部に譲り、それ以降、自分で写真を焼き付けることをしていない。
まさかタイ北部の町の写真屋で再会するとは思わなかった。









懐かしのラッキー90M





ホテルから約30分、チェンマイ駅に到着。
駅前にはソンテウやタクシーが客待ちをしている。
ホテルの客引きもいる。
駅にやってきた私に声をかける運転手などいない、みんな到着する列車待ちである。





































もう、そろそろバンコクからの夜行列車が到着する時刻である。
昨日18時過ぎにバンコクを出た列車は9時30分に到着する。
15時間半の旅である。
一方、バンコク行きの昼間特急が停車している。
機関車が客車を牽引するのではなく、ディーゼルカーによる運用である。
チェンマイからバンコクまで15時間かかるため、夜行と違いバンコクまで通しで乗る人は少ないのだろうけど、乗車率は高そうである。





























































バンコク行きが出発した後、バンコクからの夜行列車が到着した。
夜行列車が持つ気だるい空気と一緒に乗客が降りてきた、バックパックを背負った若者も多い。
ただ、日本人や韓国人はほとんどおらず、欧米系の若者が多いのも今の時代である。
出口では運転手や客引きが彼らを待ち構えている。



























一気に騒がしくなる































駅前広場に展示されているSL













最後にバックパックを背負って旅をしたのは何時だっただろう












一瞬の喧騒の後、駅前は静かになった。
客を取り損ねた運転手が、私に声をかけてくるが、脈なしとわかっているためか、一応みたいな感じの声のかけ方である。
次は市場へ。



市場で捜し物

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