カレン族の哀しみ


タイ北部にはいくつかの山岳民族が暮らしている。
昨日訪問したモン族、そしてこれから訪問するカレン族である。

一般にはカレン族というよりは首長族のほうがピンとくるかもしれない。
この民族の女性は幼い時から首に真鍮のリングをつけていき、最終的には6kgの重さになる。
リングで首を伸ばしているのではなく、写真でもわかるようにリングの重さで肩が変形しているのである。
左側が通常の肩、右側が変形した肩。
だから、首が長いのではなく肩が極端に下がって変形しているため長く見えるのである。ミャンマー国境から、約30分。

カレン族の村に到着。
入村料を払い(ツアー料金に含まれているので金額は不明)、竹の橋を渡りその女性達がいる場所へ。















自生している龍目











広場を長方形で囲むように建物が建っている。
そこで土産物を売ったり、織物を織ったりしている。
いわゆる住居ではなく店である。。

私はなにげなく一人の少女にカメラを向けた。
いつものように自然なスナップを撮ろうとして、「写真を撮っていい?」と声をかけるとカメラに目線を合わせポーズを取ったのである。
私は一瞬驚いたが「スマイル!」と声をかけると微笑んでくれた。
なんなのだ、このリアクションは。









カメラに気がつかなければ自然な表情





他の女性も同様である。
織物を織っている時でも、カメラに気づくと手を止めてポーズを取ってくれる。



















幼い子どもが化粧をしておりかわいいので、それを撮ろうとしたら、手を止めてポーズを取る。
私が「(化粧を)続けて」といっても姿勢を崩さない。















髪に櫛をいれていた少女も、私に気づくとポーズを取りましたが、「続けて」というと髪をとぎ始めた。
写真を見ていただいてもわかるとおりポーズを取った写真がとても多い。









通常、短時間で、これだけの人数をポーズを取ってもらい撮ることは、まず不可能である。
普通の女性が、カメラを向けられて自然な表情で写真を撮られることは難しい。
どのような表情をして、どんなポーズをとって、どこに目線を持っていけばよいのかわからないのが普通の人の反応である。
それができないからVサインなのである。
だから一人を撮るのに、とても時間がかかる。













ところが、これだけのカットを撮るのにかかった時間はわずか20分たらず。
もちろん一人、数カット撮っている。
明らかに撮られ慣れているし、目線の置き方もよくわかっている。




















私は撮っていて、悲しくなってきた。
「こんなの見せ物じゃないか」
織物や木彫りの土産物が商品だが、彼女達もまた商品なのである。
でも、そんなことはわかっていたはずだ。

私もカレン族に興味がありこのツアーに参加したのだから。
そしてポートレート撮影用レンズも持ってきている。

私のツアーは12人、他に2台のバンが止まっていましたので、だいたい30人ぐらい、一日中観光客が来て、それが365日来るわけである。
年間数千人が彼女たちを見て、写真を撮るのですから自然にポーズを取るようになって当然だろう。
生きて行くために自らを商品とした哀しみをファインダーを通して感じたのだった。
たぶんこの村だけでなく、多くのカレン族の村で同じなのであろう。
それでは男はどうしているのか、それは明日である。
これで本日のツアーも終了。
充実したツアーだった。


カレン族の村から2時間半かけてチェンマイに戻り、ホテルで下ろしてもらった。
もう8時近く。
どこで夕食を食べるか?
とりあえずナイト・マーケットに行ってみることにした。



ナイト・マーケット入り口にある回転寿司&しゃぶしゃぶ屋













地元の人でいっぱい













ナイト・マーケット


















そこにいけば何か食べることができるだろう。
行ってみると物品の販売ばかりであり、飲食店は広場に集められている。
広場に行くと、あちらこちらから声がかかるがシーフードばかりである。
こんな内陸でシーフードですか。
広場に奥までいくとハラルとかパキスタン料理の店がある。
ここでパキスタン料理もなぁ。
結局、シーフードのタイ料理の店に入った。
出てきた料理を食べてみると、期待していなかった分、予想を裏切られる美味しさであった。







明日はゾウ!



ゾウ使い

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