9時間


7時過ぎホテルに戻り朝食。
朝食を食べながら今日の移動の手段を考えた。

11時の列車の予定だが、今からバス・ターミナルに向かえば8時のバスに乗れずはず。
トリヴァンドラムまで4時間程度である。
そうすると昼頃には着ける。
ここはインドである。
列車が定刻に出る保障もない。
可能であれば早く出て移動をしたほうが良いだろう。
朝食後、すぐにホテルをチェックアウトしてバス・ターミナルに向かった。
昨日も行っているのでターミナルまでの所要時間は検討はついている。
ターミナルでバスを待っていると年配の女性から話しかけられた。



とても親切にしていただきました







こちらは友人























「どこから来たのですか?」
「日本です」
「どこへ行きますか」
「トリヴァンドラムに行きます」
「私と一緒のバスですね。バスが着いたら教えてあげます」
「ありがとうございます」
8時前バスが到着。
「このバスです」と年配の女性が教えてくれた。
親切に感謝し、一緒に乗り込んだ。
私はキャリーバッグの置き場所の関係で右後ろの席へ。
なんとなくこの場所が指定席になってきた。
8時15分に発車。









キャリーバッグの置き場所






11時45分にトリヴァンドラムに到着。
予想より早く、3時間半で着くことができた。
鉄道駅の前がバスターミナルである。
大規模な工事をやっている関係で、一帯が埃っぽい。
アレッピー行きのバスの時刻を調べてからでもと思ったが、アレッピー行きの次のバスは12時出発とのこと。
う~ん、このまま一気に行ってしまおうとアレッピー行きを優先した。
12時、定刻通りバスは出発。





























































大通りに出てしばらく走り車線を変更した瞬間、大きな衝突音が車内に響き渡った。
「あー、事故だ!」とすぐわかった。
乗客も何が起こったかと窓から顔を出している。













5分程待っていたが、全員バスから降りてしまった。
私も降りてバスの前方に行くと、バスの運転手とおそらくバイクの運転手が激しく言い争っている。
そのうち警察官もやってきた。
「あたた、ここで運転打ち切りか。バス代返してもらえるのか?ここからアレッピー行きのバスは出ているのだろうか、それともターミナルに戻らなければならないのか?」など考えていた。
警察官もいる口論している場所に近づいて写真を撮ることはやめておいた。
カメラ没収やデータ消去されてもつまらないし、そこまでして撮らなければならない写真でもない。
結局20分程で決着がついたようで、バスは運転手が変わることもなく出発した。



これ以上近づいて撮ると、こちらがトラブルに巻き込まれそうだ













とりあえず出発することになった


バスはクイロンを経由し17時前にアレッピーのバスターミナルに到着。
8時にカニャークマリを出発し、都合9時間かかった。
その間、何も食べずじまいである。
アレッピーのバス・ターミナル周辺にはレストランとホテル・アルカディア(アルカイダではない)と数件の建物があるぐらいの小さな村である。
『歩き方』にはホテル・アルカディアの先の路地を入ったところにゲストハウスがあると書いてある。
そのとおりに行ってみると、KTC Guest Houseがあった。
久しぶりにゲストハウスに泊まるのもいいか。
部屋を見せてもらい、最初の部屋シングルでとても狭く700ルピーだったが断り、ツインの部屋を1,000ルピーで決着。









ゲストハウスに泊まるのは久しぶり







部屋は2階


















フロント(というか机とテレビとパソコンがあるだけの部屋)のある部屋に行き、宿泊の手続きをし、バックウォーター・クルーズについて相談をした。
バックウォーター・クルーズはアレッピー~クイロン間の運河や湖を8時間あまりかけていくボート・ツアーである。
そしてそれはアレッピー観光開発公団(ATDC)と地域観光開発協議会(DTPC)が同じ内容で運行している。
カニャークマリでSさんから聞いた話では、Sさんは8月9日にアレッピー着いて、10日のバックウォーター・クルーズを申し込もうとしたが、シーズンオフで8月20日からしか運行しないためクルーズは諦め、お祭りを見ていたと話をしていた。
ということは、明日16日もバックウォーター・クルーズは運行されないことになる。
その事をマネージャーに確認したら、たしかにクルーズは20日からしか運行しないとのこと。
ただ1時間300ルピーで船をチャーターできるとのこと。
8時間のツアーは飽きそうだなと思っていたので、3時間程度のほうがかえってありがたい。
3時間のクルーズで予約をした。



ゲストハウスのマネージャー


マネージャーに部屋代と船のチャーター代を払うと、「冷えたビール100ルピーだが飲むか?」と言われた。
「今日は独立記念日でドライ・デーではないのか?」と言うと、「大丈夫だ!今飲むか?」との返答が。
「いや、しばらく外に出るので戻ってきてから飲む」と伝え外に出た。
ともかく昼食抜きだったので近くの食堂で遅い昼食。







バスターミナルやその前を流れる運河あたりを歩き写真を撮っていた。
バックウォーター・クルーズの拠点ということもあり、もっと観光地化しているのだとイメージしていたが、シーズンオフでもあるためか、とても静かな村である。
ひととおり村を歩いてゲストハウスに戻った。



























車より船のほうが多いのでは?



















ゲストハウスへの案内看板





































怪しい人ではありません













そういえばアレッピーの手前の村でサーカステントがあった





フロントに寄って、マネージャーにビールをお願いした。
すると若い従業員が外に出て5分程で戻ってきた。
ビニール袋には冷えたキングフィッシャーが入っている。
それにしても100ルピーは安い、今まで飲んできたのは200~250ルピーだったので格安である。
2階の踊り場スペースに机と椅子があり、Wi-Fiの電波も届くので(部屋には届かない)、ここでビールをラッパ飲みしながらネットにアクセスして作業をしていたが、蚊の襲撃にあった。
慌てて部屋に戻り携帯の電子蚊取りを取ってきた。
いつも荷物に入れているのだが、使うのは数年ぶりである。
よもや、こんなところで役に立つとは思わなかった。



ビールを飲みながら
テーブルの下は蚊の襲撃






20時過ぎ、夕食はどこで食べようかと外に出たが、ほとんど開いている店がない。
ホテルなら開いているだろうとアルカディアへ。
入るといきなり右手にBARがあり、多くの人が賑やかに飲んでいる。
BARも良いが、食事が先だ。
奥のレストランに入ると、こちらも多くの人が飲んでいる。
雰囲気は居酒屋である。
独立記念日のドライ・デーは、このホテルは関係ないらしい。
ビールを注文すると1本100ルピー。なるほど、ゲスト・ハウスはここでビールを買っていたんだ。
ローカルのスピリッツを飲んでいる人も多いし、酔っぱらいもいる。
インドに来てから、ビールを飲むときは静かな部屋で隠れて飲むような感じだったが、ここはオープンで賑やかだ。
私まで楽しい気持ちになってきた。
ビールをもう1本飲み、カレーを食べてゲストハウスに戻った。















アルカディアはギリシャの理想郷
松本零士のマンガの主人公が乗っていた宇宙船は「アルカディア号」































フロントの前を通ると呼び止められた。
マネージャーとも違うし誰かと思えば、このゲストハウスのオーナーだった。



オーナー

私と話をしたいらしい。
「Mr.ogawa、貴方は何の仕事をしているのか?」
どうやら宿泊者名簿を見て私の名前を知っているようだ。
「フォトグラファー」


自称フォトグラファー

表紙へ

海外旅行目次へ