タントアン村へ


朝6時前、私は一軒の店に向かってチャンカウヴァン通りを歩いていた。







カオ・ブンを食べるためである。
カオ・ブンとは蜆の出汁かけご飯である。
サイゴンでmibuさんが「フエに行ったらカオ・ブンをぜひ食べてください。私なんて3杯おかわりしました。」と勧めてくれたものである。









6時過ぎにもかかわらずこの賑わい























これもフエ料理の一つで、市内でも出す店は数件あり、その店があるエリアに向かっているのである。
店に着くと、すでに何人かの客が入っている。
日本人観光客も二組来ている。













カオ・ブンを注文。
3分も待たずに出てきた。
よくかき混ぜて一口。
蜆の出汁にハーブや薬味がからみ美味しい。
ただ、想像していた以上に辛い。
隣の日本人の男性2人は「辛くなくてもいいのに」と言っている。
後を引く辛さである。
それとグルタミン酸の味が強い、東南アジアの料理と「味の素」は切っても切れない仲だが、もう少し控えめのほうが良いのではないか。
量が少ないので、もう1杯欲しいが、ホテルが朝食付きなので我慢することにする。
1杯20,000ドン(80円)。













朝6時過ぎというのに、この界隈の飲食店はほとんど開店している。
朝の早い国だ。
その一角にある喫茶店。
風呂の洗い場で使うような低い椅子に座ってコーヒーなどを飲んでいる。
客が道路に向かって横一列で飲んでいる姿は面白い。



















ここだけではなく、どのカフェや飲食店も6時30分過ぎに多くの人が朝食を食べている。
前々から思っていたのだが、この国の人たちは早朝から動いている。
シンガポールやマレーシア、香港ではこれほど朝早くから人は動いていない。
日本もそうだが、人々が本格的に動き出すのは7時を回ってからである。
国民性もあるのかと思うが、それだけでは無いはずである。



ホテルに戻る道で、何気なく太陽を見上げた。
「こんな早い時間なのに、もうこんな高さまで上がっている。」と呟いて気がついた。
この国の人たちは、GMT(グリニッジ標準時)が7時間ではなく、シンガポールやマレーシアと同じ8時間で生活をしているのではないか。
ちなみに日本はGMT9時間。
わかりやすく日本を基準にするとシンガポールやマレーシア、香港は時差1時間、ベトナムやタイは時差2時間である。
ホテルに戻りパソコンを立ちあげて調べてみた。
ベトナムは東経110度ぐらいに位置し、シンガポールやマレーシアは東経100度ぐらいに位置している。
世界地図からイメージしていたとおり、ベトナムはシンガポールやマレーシアより東に位置している。
つまり、日の出の時刻はベトナムのほうが早いのである。
なるほど、だから日の出と同時に活動を始め、日中、暑くなる前に午前の仕事を終える。実質はシンガポールやマレーシアと同じ時間帯で人々が生活しているのである。






そんな、たわいもない発見を喜んで、ホテルで朝食。













そして洗濯物をクリーニングに出す。2kgで40,000ドン(150円)。









店の受付の女性、いい笑顔だ







店のおばあ。この表情も素敵だ


ホテルからバイク・タクシーでタントアン村へ。
村往復で150,000ドン(600円)、妥当な金額だろう。
走り出して5分もしないうちに、一面、田圃との風景となった。
二毛作なのか、ちょうと収穫のシーズンである。
途中、稲刈りをしている田圃があった。
「止めて」と言おうと思ったが、私が何も言わないうちにバイクを止めてくれた。
そしてコンバインを指差して「ジャパン」と言った。
なるほど、私にこれを伝えたくて、バイクを止めたのか。





















バイク・タクシーのオヤジ

そして田舎道を走ること20分。
タントアン村に到着。
目的の屋根つき木造の橋は目の前である。
ホイアンの日本人橋は有名だが、これも欧米人観光客からは「日本橋」と呼ばれているらしい。
橋の中央が一番高くなっている。
両側にはベンチもあり、休憩することもできる。
面白い構造である。





































橋も良いが、村の雰囲気がとても良い。
川で貝を採っている若者、こじんまりとしたマーケット、泥だらけの水牛、一面に広がる田圃、日本人にとって昔の日本の風景と重なるので懐かしい気持ちになる。































































取っているのはカラス貝












村の農業博物館
























しばらく気ままに撮影をする。
小さな村なので1週するにもさほど時間はかからない。



























もう一つの籠の蓋を取ってもらうと























































ボチボチ観光客も来はじめた





バイクで市内に戻った。ただ、ホテルまでというのは芸がないので旧市街のドンパ市場に向かってもらった。
市場でおろしてもらい、ここでさようなら。
結局、チップを含めて200,000ドンを支払った。
ナイスな運転とガイドでした。ありがとう。


旧市街をゆらり

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