フェズの夜~再会


8月上旬、友人の三谷眞紀さんから、共通の友人であるnaomiさんが、モロッコを旅行中でtwitterで魅力的な写真をアップしていると教えてもらった。







私はtwitterはやっていないが、たまたまお互いLINEに入っていたので、LINEを使って連絡を取ってみた。
彼女はカサブランカからマラケシュ、カスバ街道からサハラ砂漠に向かうルートを取っていた。
「ラマダン期間中はサマータイムは適用されていない」
「アルコール類の入手は難しい」
「昼間営業している飲食店は極端に少ない」
などのリアルタイムの情報をもらった。







結局、彼女のルートと私のルートで唯一、重なるのがフェズであった。
14日の20時に会おうということになり、私の泊まっているホテルに訪ねてくる約束となった。
ホテル名を検索していくので大丈夫ということであった。







ホテルに到着し、LINEで「ホテル到着」と伝えた。
それまでの時間、マジックアワーのフェズを撮っていた。







子ども3人で果物を売ってたので、撮影したところ。
一番上のお兄ちゃんであろう。私に指を指して「no photo」と睨みつけた。
私はビックリしてしまった。
いままで、様々な国で子どもを撮影しているが、これだけ強く拒否されたのは初めてである。













8時になるとLINEに「今ホテルの前にいます」のメッセージ。
彼女と、無事、再会することができた。
5分袖のグレーのTシャツ、7分丈の黒のパンツにサンダルと旅人らしい姿であった。
彼女と会うのは2年前吉祥寺で会って以来である。
久しぶりに会うけど、変わっていない。



















twitterにLINE、シム交換にWi-Fi・・・一昔では考えられなかった手段に確実に連絡を取ることができる。
時代を感じるなぁ。













すでに日没で本日のラマダンも終了。
バブ・ジュールド門の近くに何軒かの店が営業していた。
彼女は昨日、フェズに到着し、ここの一軒で同じホテルの日本人旅行者と食事をしたとのこと。
「どこで食べても味は同じ。ここは昨日安くしてくれたので、ここにしましょう」と店に入ると、道路にしつらえたテーブルに案内された。
この時、他の客の視線が、彼女に集まるのがわかった。
無理もない、女性は外国人旅行者のみであり、それ以外はすべて男である。







お互いの近況を話して、私は、3年前に使った『地球の歩き方 ポルトガル編』を彼女に渡した。
彼女は、モロッコの後はスペインに渡り、その後ポルトガルに行く予定だったので、私がポルトガル編を持っていたら譲ってほしいとのことであった。
それを日本から持ってきたのである。

お互いの近況を交わし、今までの旅の情報を教えてもらった。
やはり「酒類」は街中で手に入れるのは不可能に近い、現にフェズでは店の主人に尋ねたら、フェズの街の店はラマダン期間は一切、酒類を販売していないとのことである。
彼女は、モロッコに来て2週間近くになるが、ビールとワインが飲めたのは、マラケシュで1日だけであったと、それも別の旅行者が探し出してきたものだった。
昼間は水を飲むのも、周りの気を使うなど、想像していたとはいえ結構ハードである。

あと、サハラ砂漠がとても良かったと細かく話してくれた。
私はフェズ2泊の後は3日間の予定を決めていなかった。
彼女の話を聞いて、サハラ砂漠に行くことに決めた。

二人で「ビール飲みたい」と言いながら食事の後は、隣のカフェに行きコーヒーを頼んだ。その店の客も一斉に彼女に注目した。
彼女の髪は、背中までの長さでキレイな黒髪である。その上、小柄できれいな人なので、モロッコの男達は釘付けになっている。
特に日本女性は若く見えるのでなおのことだろう。







その後、門を出てモスクの横を通り過ぎると広場がある。
そこは移動遊園地となり、時間は22時を回っているにもかかわらず多くの子供達が遊んでいる。
彼女は「あそこの、メリーゴーランドが私のツボ。人力で回すんですよ。」と、指差した先には大人2人でメリーゴーランドを回していた。
彼女のホテルは広場の反対側にある。







広場の隅にある階段に座った。
「naomiさん、女性1人でイスラム圏の旅はきついでしょう。」
「そうなのよぉ。遠くにいる男が突然駆け寄ってきて、手の甲やあげくの果て手のひらにまでキスするの。他では、いきなり抱きしめられ髪にキスされてベトベト。」など笑って話しているが、結構、セクハラというか隙あらば口説こうで接してくるから厳しいはずである。
そのようなことをおくびにも出さず、サラッと話す彼女はたいした人である。

「ogawaさん。私はラマダンが明ける前にスペインに行きます。ラマダンが明けると日本の年末年始のように人々が一斉に帰省したりするので身動きが取れない可能性があるので。それにビールが飲みたいし、米がたべたい。」

たしかに先ほどの食事のパンもパサパサであった。
あのようなパンがばかりだと、ちょっとしんどいかな。



こちらは人力観覧車


















23時前、もう少し話をしたかったが、私のほうが体力の限界にきていたので、お互いの旅の無事を祈って別れた。
足取りも軽くホテルに戻る彼女の後姿を見送っていると、フッと周囲と同化してしまい姿が見えなくなるようであった。
彼女はほんとに旅人なんだな。







私がホテルに戻る時、食事した店の前を通りかかったところ。
「おまえはガールフレンドと一緒じゃないのか?」
「今晩、彼女と寝ないのか?」
「彼女はいくつなんだ?」
「ふられたのか?」
あちこちから声が飛んでくる。
それもフランス語でなく英語である。
しかし、よく見ているというか、彼女が気になってしかたがないのだろう。
彼女の実年齢を教えたら驚くだろうな、と思いつつ、笑ってスルーしてホテルに戻った。

ホテルに戻るとシャワーを浴びて、充電作業。
10年前であればフィルムを50本前後持ってきていたが、今や、同じ写真でもデータバックアップのためのパソコン、D300の充電器、スマホとケーブルだらけである。

その後は記憶がない、疲れ切って寝てしまったのだろう。



フェズ早朝

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