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関西空港に向かうべく18時過ぎに自宅を出てJR高槻駅に向かった。
駅に到着すると、阪和線でトラックが橋桁に衝突し運転見合わせ中の案内が。
阪和線は関西空港へ向かう路線である。

私は駅の係員に尋ねた。
「いまの運行状況はどうなんですか?はるか41号(新大阪19時15分発)の予約をしていますが運転状況はどうなんですか?」
「ええと、まもなく運転再開との連絡が入ってきてます。はるか41号は運休です。」
「ええっ!?」一瞬、躊躇した。

チケットは諦めて、茨木か大阪からバスで行くか?
いや、今はお盆で高速の渋滞がひどい。
2日前も車で通常45分で行ける場所へ行くのに2時間かかっている。
こちらのほうが遅れる可能性が大きい。

「その前の、はるか39号は運転していますか?」
「こちらは運転しています。ただ、阪和線内で遅れる可能性があります。」
はるかは30分間隔の運行だから、39号は18時45分発である。
フライトは22時30分だから、21時30分までに着けば問題はない。
運転見合わせも解除されているから、極端に遅れることはないだろう。

次の新快速に乗れば新大阪着18時40分、乗り換えに5分しかないが間に合う。
もし間に合わなければ、新大阪から地下鉄で難波に出て、南海電鉄のラピートに乗れば間に合う。

関空に行くのに、いつも「はるか往復割引切符」を使っている。
高槻-関西空港、はるか往復指定席と切符、有効期限14日間で、通常であれば往復7,800円が4,000円と割安の企画切符である。
いままで幸いにも遅延や運休の憂き目に遭うことはなかったが、JRの事故や安全確認よる遅延の多さから考えると、今まで影響をうけなかったのが不思議なぐらいである。

結果、新大阪で6時45分発のはるか39号に乗れ、阪和線の運行も再開し、約10分遅れの19時45分に関空に到着。
予定より早いぐらいである。
早めに家を出て良かった。







今回の行き先はモロッコ。
フライトがトルコ航空なのでイスタンブール経由カサブランカというルートである。
せっかくなので、帰りはイスタンブールで2泊して日本に戻る予定を組んだ。

今まで私が訪れた国は仕事も含めて40数カ国である。
そのすべてがアジア、中東、欧州であり、南北アメリカ、オーストラリア、アフリカは行ったことがない。
今回、初のアフリカである。

2年前、カタール航空でカサブランカ行きのフライトを予約していたが、日程がずっぽりラマダン(イスラム教の断食月)に当たり、行き先をイタリアに変更したのである。
今回もラマダンにかかっているが、旅の途中でラマダンも終わる。
ラマダン明けは日本の正月のような雰囲気があると聞いていたので、こういう機会もめったにないだろうとモロッコ行きを決めたのである。







チェックインの時、通路側を希望したら、「本日は満席をいただいております。そのため通路側を希望されるのでした後方になりますがよろしいでしょうか?」
「いえ、かまいません。」
ともらったボーディングパスを確認したら35J・・・一番後ろやん。



一番後ろの座席でした。こんな後ろは久しぶり。

トルコ航空47便は関空を22時20分に離陸。
イスタンブールに、12時間30分のフライト時間で、予定より30分早く5時に到着。



ケマル・アタチュルク空港は沖止め






カサブランカ行きのフライトは9時50分なので5時間近く時間がある。
機内預けの荷物はそのままカサブランカまで運ばれるから、手荷物だけである。
市内まで行ってみようか。
8時30分までに戻ってきたら大丈夫だろう。

トルコの入国はイミグレーションカードの記入は必要ないのでパスポート提示のみでOK。イスタンブールは6年ぶりである。
市内に行こうメトロでゼイテンブルヌに出た。

ここからトラムに乗り換えて行こうとしたが、市内まで約45分かかることがわかった。
行ってもトンボ帰りになるし、事故にでも巻き込まれてフライトに遅れたら、すでにチェックインして搭乗者名簿に載ってるため、私のせいで出発が遅れるなど迷惑をかけることになる。
目的はモロッコなのだから、まずそちらが優先。














イスタンブールは10日後にまた来るのだから無理する必要はない。
ゼイテンブルヌでジャーミィーの後ろに上がる美しい日の出を見て満足して空港に戻った。













イスタンブールからカサブランカまでは5時間。



















機内食が出た時、飲み物は通常ならビールを頼むのだが、午前中のフライトでもありトマト・ジュースにした。
関空-イスタンブールのフライトもナイトフライトということで機内食や飲み物をパスして寝ていたのでビールを飲んでいない。
この後、5日間ドライデーを強いられるとは、この時は予想もしていなかった。







カサブランカに定刻通り11時50分着。
入国審査はイミグレーション・カードを記入(希望したが機内で配布されなかった)、手荷物チェックなど時間がかかった。
日本との時差は9時間。ラマダン中はサマータイムが適用されないとのこと。
モロッコは鉄道が機能しているので、移動手段として有効であると聞いている。
空港からカサブランカ・ヴォイジャー駅まで30分、一等車60DH(デュラハム 1DH=約9円)。空港13時00分発、13時30分カサブランカ・ヴォイジャー駅着。



















ここでフェズ行きの列車の切符を買う。
カサブランカ・ヴォイジャー駅14時15分発、フェズ着18時15分の一等車の切符を165DHで購入。

ストレス無しで順調に先に進める。








フェズ行きは約10分遅れで出発、一等車といってもコンパートメントではなく、クロスシート車両だった。
ほぼ満席である。







列車は乾いた大地を走っていく。

この光景は以前、ヨルダンやシリアで見たのと同じである。
お腹もすいたし、喉も渇いたので食べ物と水を口にしようとしたが、乗客のだれも何も口にしていない。
ラマダン中でも異教徒や旅人は食べ物を口にしても良いはずだか、そんな雰囲気ではなく、結局、私も終点まで付きあって何も口にしなかった。
フェズには遅れを取り戻し定刻どおり18時15分着。















怒らせてしまったドライバー・・・すみませんでした

駅前のタクシーで40DHとぼられ気味の値段で決着して、ドライバーの写真を「撮らせてね」とカメラを向けて1枚撮ったら、「no photo」と怒鳴られてしまった。
いままで、どんな国でもこんなことが無かったのに、この時点では個人的に写真が嫌なのかと思っただけであった。
「ソーリー」と謝り、車に乗り、旧市街の入り口、ブー・ジュールド門に到着。

これより中には車は入れない。
到着時間、18時30分。
日本の自宅を出たのが13日18時、フェズ到着14日18時30分、移動時間33時間30分。
こんなに一気に移動したのは、いったい何年ぶりだろう。
さすがに疲れた。

さて、予約している門の近くのホテルにチェックインしよう。
友人との待ち合わせ時間は20時である。



フェズの夜~再会

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