鹿野苑と五つ星ホテル


今回、ヴァラナシでの3泊をどうするかと計画を立てた時、最初2泊はガート沿いのゲスト・ハウスとすることはすぐ決めたのだが、残り1泊をどうするかをネットで調べていた。

ヴァラナシのホテルで三つ星ぐらいだと、宿泊者の評価が悪い悪い。日本人だけでなく他国のビジネスマンなどの評価も同様である。
求めるサービスが違えば評価は変わるのは当たり前であるが、それにしても、どの三つ星クラスのホテルも「部屋に入るなり、あまりの汚さに、その場でキャンセルして別のホテルにした。」など、えらい書かれようである。
四つ星や五つ星のホテルだと評価は良くなるが、日本人のファミリーで行った女性が、「部屋にゴキブリが1匹出た。」と書いているに至っては笑うしかなかった。

その中で、このゲイトウエイ・ホテルは五つ星で評価も当然良いが、一泊の宿泊代が8,000円で提供されていた。シーズン・オフということもあるのだろうが、私がいつも東京で使っているビジネスホテルの価格より安い。
インドの物価からすれば高いが、ゲスト・ハウスから五つ星ホテルというのも悪くない。
私はこのホテルを予約した。

20分程で新市街にあるこのホテルに到着したが、当然のごとくオートリキシャはホテルの敷地に入れない。
ゲート前で降りて、小雨降る中、キャリー・バッグを引きながら徒歩でエントリーするなんて、あまり格好良いものではないな。







ホテルの玄関では空港と同様、手荷物検査と身体検査が待っていた。
なんか物々しいなぁ。
検査を済ませて建物内に入ると、高級ホテルらしい造りで驚かないが、客層がヴァラナシの市街では見ない裕福層のインド人や観光客であった。
チェックインもスムーズであった。














部屋は広くシンプルでテレビは液晶で衛星放送でNHKも見ることができ、なによりテーブルが大きいのが良い。
パソコンやカメラを全部置いて作業することができるのとWi-Fiが使えるのでネットに繋ぐことができる。(結局、ガンガー・フジ・ホームでは私のパソコンではWi-Fiに繋ぐことができなかった。)




















ホテルの散策は後回しにして、ホテルを出てゲートまで歩いていき、ゲート前でオートリキシャを拾った。
行き先はサールナート(鹿野苑)。
ヴァラナシから北東約10kmのところに位置する。
ここはブッダが初めて説法をした場所(初転法輪の地)である。生誕の地ルンビニー、悟りを開いたブッダ・ガヤー、入滅(死)の地クシナガルと並んで仏教4大聖地の一つである。
ホテルとサールナート往復で500ルピー。
もう少し交渉しても良かったが、五つ星ホテルから出てきた客なので、さほど下がらないだろうと交渉成立。



ドライバーのサジット君

サジットという若いドライバーである。
運転も良い腕しているし、陽気で明るいのが良い。
約30分でサールナートに到着。

ダメーク・ストゥーパの敷地に入るための入場料は100ルピー、ちなみにインド人は10ルピーである。
チケットを買い、入り口に行きチケットを示すと半券をちぎるのではなく、チケットごと回収されてしまった。
どういうことだ、これは?
もしかして使い回しているのか?半券を切らずに回収してしまえば、また、そのチケットを100ルピーで売ることができる。
そうすれば100ルピー着服できる。





































インドの観光地では外国人向けには立派はチケットが売られるが、チケットごと回収されたのは後にも先にもここだけである。
公園に入ると仏跡が広がり奧にはダメーク・ストゥーパが見えている。
広い敷地を撮影しながら歩く、大学生の頃、仏教系の大学であったこともあり、仏教に関しては一通り学び、それなりの知識を持っている。
もちろんサールナートに関しても一定の知識を持っているが、だからと言って感動したかと言えばそうではない、「なるほど」と思う程度であった。























































しばらく散策して、隣のジャイナ教寺院に行った。
ジャイナ教はブッダと同時代のマハーヴィーラが確立した宗教であり、不殺生を誓戒とすることで知られている。
また宗教としては少数派であるが、戒律を守り、多くが商売人であり裕福な層が多いことが特徴である。そのため、インド経済界でも無視できない存在となっている。
神戸にもジャイナ教寺院があり行ったことがあるが、本家では初である。
入り口にはマハーヴィーラの像があり、下足番の爺さんに10ルピーでサンダルを預かってもらい堂内へ。





































ジャイナ教寺院を見たあと、ホテルに戻ろうとしたらサジット君が「日本寺へは行かないのか?」と聞いてきた。
仏教の聖地には寺院を建立している宗派が多く、タイ寺院やチベット僧院なども来る途中見かけたが、日本寺までは気付かなかった。
道を一本はずれた所に寺はあった。日月山法輪寺。
おそらく日蓮宗の寺だと思うが、寺院内には仏陀の涅槃像が鎮座しており日本の寺とは違う雰囲気である。お祈りをして賽銭を入れて寺を跡にした。

























ホテルに戻る途中、彼がふいに言った「Cow is dead!」、外を見ると道路の端に牛が死んでいた。とっさにシャッターを切ったので原因はわからないが、写った写真を見てみると血もついているので、おそらく事故だろう。
どうやって処分するのだろう。









ともかく警官の多い国である






ホテルに戻りレストランへ。
なんとなく昼ゴハンを食べそびれていた。
15時前でランチ営業ギリギリの時間であった。
マトン・ビリヤーニを注文。
出てきた料理は洗練されて、さすが五つ星のホテルのレストラン。















すごく丁寧な対応をしてくれたレストランの従業員

面白いのがゲストハウスのレストランの料理とさほど値段が変わらないということ。
店内は私が最後の客だったが、丁寧な対応だった。



















食後はホテルを散策、ガーデンホテルと名乗るだけあり、広大な敷地に庭を持ち、手入れがされている。
プールに行くと、日本人の家族連れであった。
庭を歩いていると、孔雀がいた。
後でホテルの従業員に尋ねたところ、ホテルで孔雀は飼っていないとのこと。
つまり野生種である。







このホテルのゲートを出たところには建物が数軒あるぐらいで、それも飲食店ではなく、自動車修理屋など宿泊客とは関係の無い店である。
そのため、このホテルに泊まった客はこのホテル内ですべて完結することとなる。







昨晩ゲストハウスでフライファンを一晩回していたので体調が今一つであるので、ゆっくりすることにした。
晩ゴハンもホテルのレストラン。
行くと昼と同じテーブルだった。
料理も繊細な味付けで美味しいし、従業員もとても親切で、いろいろとサービスしてくれる。









なぜかメニューに無いモノがサービス














彼もとても親切だった

部屋に戻ってからは、久しぶりにシャワーでなく風呂に入り、写真のデータを整理し、インド映画スターが登場するテレビ番組を見ていた。
インド映画のスター女優は、ほんとに美しいなと感じ入って見ていた。
ミニバーのウィスキーを舐めながら過ごす夜もいいものである。

ただ、このようなホテルは一人で泊まるホテルではないな。

明日は、いよいよカジュラホ。


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