ガート水没


良い天気だ。
昨日の天気が嘘みたいだ。

ホテルからガンガーのガートに向かう。
朝の通学時間にあたり、多くの子供達がリキシャや自転車などで学校に向かっている。





































街も動き出す時間であり、空気が穏やかである。









































































20分ほどでメインガートの一つダシャーシュワメート・ガートに到着。
昨晩は、人が多すぎて近寄ることもできなかったが、今朝も同様である。
すでに巡礼の人達が押しかけて近寄ることができない。













今回の旅行に出る前に何人かの方から「ガンガー(ガンジス河)が増水して、ヴァラナシのガートは水没してしまっている。」とアドバイスをもらっていた。
それでもこれほどとは思わなかった。
8月は雨季であるが、例年になく上流で雨が多く増水しているとのことである。
通常、上から階段で20段ぐらい降りたところに河面に達し、そこで沐浴をしたりするのだが、階段は水没してしまい、ほんの1~2段見えているだけである。
つまり堤防の上と河面までのスペースがまったく無くなってしまい、巡礼者は水際で聖水を汲んだり祈ったり沐浴をするので、狭いスペースに人が溢れかえり身動きが取れない。
まいったなぁ、これでは「ガンガーのガートで沐浴する人々」の写真を撮ることは不可能だ。
こればかりは解決する問題では無いので、スパッと諦めることとした。















ガートの周辺は巡礼者のための宿やゲストハウスが迷路に中にひしめいている。
狭い路地を人が歩き、牛も歩く。





















私は、本来ならば昨日から泊まっていたはずの「ガンガー・フジ・ホーム」向かった。
込み入った路地だが要所要所に看板がかかっているのでさほど迷わず着くことができた。「フジ」はもちろん富士山の「フジ」である。
このゲストハウスのオーナーは長らく日本に滞在していたので日本語が通じ、ハウス内にはWi-Fiが使えると紹介されている。







私が、このゲストハウスに泊まろうと思ったのは、それが理由ではない。
出発前にネットで調べていると、このゲストハウスの最上階にレストランがあり、そこから屋上に出ることができる。また周辺では一番高い建物なのでガンガーやヴァラナシの街を見渡すことができるというログを読んだからである。
ゲストハウスに入り、カウンターにいる兄ちゃんに声をかけた。
「おはようございます。今日、1泊したいのだけど部屋ありますか?」
「エアコンかノン・エアコンか?」
「エアコン(付きの部屋)で。」
「一応部屋が空く予定だが。11時30分頃来てみてくれ。」
「わかった。今、レストランで朝ゴハンを食べることはできるか?」
「大丈夫だ、開いている。5階だ。」
チャイとチーズ&トマトトースト・サンドを注文。
たしかに見晴らしが良い。
屋上に出るドアも確認してロケハン終了。




































































































この牛は野良でなく飼育されている。肌の色艶が違う。







この廃屋は猿の居住地となってる









































































何の行進か不明




































再び迷路をふらつき撮影しながらホテルに戻った。
11時過ぎにホテルをチェック・アウト。
フロントの兄ちゃんには、昨日からいろいろと親切にしてもらっている。
「チェック・アウトお願いします。」
「次は何処に行くのか?」
「ガート沿いのゲストハウス。」
それを告げた瞬間、驚いた顔になり「信じられない。ウチのホテルのほうがよほど快適なのに。」と一言。
まぁ、言いたいことはわかる。



右がフロント・マン、気の良い奴でした












リキシャでダシャーシュワメートに向かう。
その入り口でリキシャを降ろされた。リキシャはこれ以上中に入れない。
カートを引きながらゲストハウスに向かおうとすると、お約束通り、何人かが声をかけてくる。



声をかけてきたのは彼である


そのうちの一人が日本語で「モホニー・シルクショップは安くシルク製品を売っている。大沢たかおの深夜特急のドラマを知っているか?そのロケをやった店だ。」と名刺を出した。
無視するつもりだったが、店の名前に引っかかった。
知人のHさんという若い女性が「ヴァラナシのメインガートの近くにモホニー・シルクショップというシルクショップがあり、そこには友人がいる。」と言っていた。
「Hさんって知っている?」
「Hさんは、よく店に遊びにきていた。1日店にいたこともある。あなたはHさんの知り合いか?」
「(ビンゴだと思ったが、用心して)もしかしたら違う人かもしれない。」
「店に彼女の写真もある。店にきて確認すればよい。」と、すぐにでも店に連れて行こうとする。
「待ってくれ。私は荷物を持っているし、これからチェックインするところだ。そちらが先だ。」
「わかった。じゃゲストハウスの前で待っている。何処のゲストハウスだ?」
「ガンガー・フジ・ホーム。」
と告げると彼はさっさと歩き始めた。
5分程で到着。
「それでは、待っているし。」









どのホテルでも書く、分厚い宿泊台帳。

ゲストハウスに入ると部屋はすぐにくれた。4階の部屋である。
部屋に入るとドアに注意書きが貼ってある。
「停電した場合も部屋代はディスカウントしない。」「ホテル内でドラッグはダメ。」など面白いことが書いてある。













またゲストハウスの真ん中は吹き抜けになっている。金網が架けてあるが、通路は1mもないので結構おっかない。

荷物を整理してゲストハウスを出ると彼は待っていた。
「私は商品を買ってくれとは強制しない。あなたの目で判断して良いと思えば買ってくれたらいい。」と、できる営業マンみたいな台詞をしゃべるのが面白い。
シルク・ショップがかたまっているビルの奧に入るとその店はあった。
彼は店の奥からポケット・アルバムを出してきた。
「これが、大沢たかお。」
ほんとに深夜特急のロケ中の写真である。
何ページかめくると「これがHだ。」、まさに、知人のHさんである。
インドの片隅でHさんの写真を見るとは、世の中狭いわ。
だが、私が口に出したのは別の言葉だった。
「残念だけど違う、別人だ。」
なぜなら、ここで知り合いだと言うと、売り込みで店から動けなくなる可能性があったので、とっさに誤魔化したのであった。















サクッと店を出て昼ゴハン。


ごった煮的世界

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