ヴァラナシへ


K君がラジャスターン州に出張のため早朝5時に空港に向かった。
そして私は7時15分に空港に向けて出発。
K君、L嬢お世話になりました。
チャンデル氏は早朝から空港2往復、ご苦労様そしてありがとう。







インドの空港のセキュリティ・チェックはとても厳しいと聞いていたが、本当であった。
空港の入り口でeチケットのプリント・アウトとパスポートを見せないと空港内に入れない。
そして機内預け荷物はチェックインの前にセキュリティ・チェックを受けなければならない。
セキュリティ・チェック済みのシールが無いとチェックイン時に荷物を預かってくれない。
チェックイン時に機内持ち込みの手荷物用にタグをもらう。
搭乗のためのセキュリティ・チェック時に手荷物のタグと航空券に検査済みのスタンプを押してもらう。
最後、搭乗時にスタンプの確認をして搭乗。
なんとも手間のかかるシステムである。
日本の国内線の「15分前には搭乗検査を済ませ、10分前には搭乗ゲートにお越しください。」の感覚では飛行機に乗り遅れてしまう。

8時空港到着。
フライトは9時55分。
国際線に乗る感覚だが、セキュリティ・チェックとチェックインを済ませたら朝食を取ろうと考えていたので、その時間を見込んで早めに空港に到着するようにした。
空港内に入りキングフィッシャーのカウンターに行くと、キングフィッシャーの空港係員が「ヴァラナシ行きのお客様はいませんか。」とアナウンスを繰り返している。
「ハイ。」と係員に告げると、「9時55分のフライトは9時15分に変更になりました。チェックインを急いでください。」と言われた。
何で40分も早発になるんだ?
1時間前に空港到着していたら間に合わないじゃないか。
ともかく搭乗手続きを済ませて搭乗券を見ると搭乗開始時刻は8時45分、30分前なんて国際線なみじゃないか。
現在8時20分。



他のフライトでも早発がある。1時間10分も早いフライト。予約客乗れるのか?

このまま乗るとヴァラナシに着くまで何も食べることができないと思い、2階のフードコートに向かった。
階段を上がったところにマクドナルドが。
ここならすぐ食べることができるだろう。
「ハンバーガーとコーヒー」と注文したら「フライドチキンのハンバーガーとミルクコーヒー」が出てきた。
スパイスの効いたハンバーガーと甘いミルクコーヒーの朝食。
「面白いぁ」と思いつつ食べていたが、搭乗時刻がちかづいているので異文化論を考察している時間は無い。

キングフィッシャーのヴァラナシ便のゲートまではかなり遠い。













ゲートに着いた時には、すでに搭乗手続きが始まっていた。
ここでも最終のセキュリティ・チェックがあるのでスムーズには搭乗できない。
そのための30分前搭乗開始なんだ。

9時15分、定刻(?)どおり出発。
ほぼ満席、乗り遅れた人はいないようである。
いままで遅延は何度も経験しているが、早発、それも国内線で40分も早くなるなんて初めての経験である。







水平飛行になると機内食が配られはじめた。
国内線で食事が出るとは思っていなかったので意外であった。
これならマクドナルドに行く必要は無かったかな。
1時間10分のフライトでヴァラナシに到着。

手荷物受け取りでベルトコンベアーから荷物が出てくるのを待っていると「うわぁ!」「おい」など声があがった、そちらを見ると猿が天井の梁を走っている。
なかなか面白いじゃない。
空港から市内までは約18km。
プリベイド・タクシーのカウンターへ行き「ダシャーシュワネード・ロード・エリアまで。」と言うと500ルピーと言われた。
「歩き方」では380ルピーとなっているが、交渉しても安くならない。
別の客も500ルピー払っている。
出口でオートリキシャと交渉して安く行こうと考えたが、天気が良くないこともあり、結局500ルピー払ってタクシーで行くことにした。
運転手は「今日の天気は良くない。先ほども強い雨が降っていた。」と言っている。
確かに雲は低く、遠くで雷鳴も聞こえる。















雨が写真に写るほどの土砂降り

走り出して10分もしないうちに土砂降りとなった。
車は速度を落として走るが前がほとんど見えない。













市内に近づくに従って道路が川になっている。
あまりの雨の強さに牛まで屋根の下に避難している。

車が一台止まっている。彼はその車の前に止めて、その車に向かい戻ってくると「後ろのタクシーが動かなくなり、その客を乗せてほしいと頼まれたが、貴方の許可がいる。かまわないか?」とのこと。
先ほど彼にかかってきた電話はこの件だったのか、私は「かまわない」と答えた。
20代であろう欧米系のカップルが乗り込んできた。
相変わらず土砂降りで徐行運転状態である。
オートリキシャにしなくて良かった。
今頃ずぶ濡れになって、下手すれば、走行不能になりどこかで降ろされていたかもしれない。







30分程走ってカップルはラディソン・ホテルで降りていった。
「バックパッカーが5つ星ホテルか。」と違和感を持ったが、後日、その組み合わせに納得することとなる。













雨は小降りになってきたが、道路はどこも冠水して交通機能は麻痺している。
大混乱のヴァラナシ駅前を抜けてしばらく走ってから彼は言った。
「だめだ、この先は完全に冠水して進めない。ダシャーシュワネード・ロードまでは、ここから直線で2kmほどだ。」
今、どこを走っているか分からないのに降りて、雨の中、冠水した道路をキャリーバッグを引いて行くなんて無理だ。
まして宿を決めていないので宿探しもしなければならない。
私は彼に言った。
「ここを荷物を持って歩くのは無理だ、あなたのお薦めのホテルを紹介してくれないか?」
「わかった、良いホテルを知っているので紹介する。」
と、冠水した道路をUターンして走ること5分。

パラビー・インターナショナル・ホテルというホテルに到着。
「ここだ、グッド・ホテルだ。」と言って、彼は去っていった。
コミッション欲しさに案内してくれたわけではなさそうだ。









空港を出たのが10時30分頃、このホテルに着いた時間は12時15分。空港から市内に入るのに2時間近くかかったことになる。
フロントに行き「部屋はあるか?」と尋ねると「部屋はある。エアコン付きは1,800ルピー、エアコン無しだと900ルピー。」。
「それではエアコン付きで。」と答え、パスポートを出すと「日本人か珍しい。」と言っている。
どうやら日本人は、あまり泊まらないホテルのようである。

ボーイが2階の部屋まで荷物を運び説明をしてくれた。
「エアコンは4時から動く。シャワーはエニイタイム、ホットシャワーになる。停電が多いので、その時はこのロウソクを使え。」
エニイタイムの湯も停電も気になったが、他の部屋も大差なさそうだ。
トイレの水も流れるし掃除も行き届いているのでこの部屋に決めた。


とりあえず一息ついて「歩き方」のヴァラナシの地図で、今、自分がどこにいるのか確認。
地図にはこのホテルが載っていて、旧市街でヴァラナシ駅とガンガーとの中間に位置してガンガーまで約2.5kmぐらいである。
雨も止んだようだしガートに行こうと部屋を出たら、女性の集団が階段を降りようとしている。
全員がドレスアップしているところを見ると結婚式のようである。
となると右側の赤いドレスの女性が花嫁だろう。































来るまでは大変だったけど、幸先が良いなという気分になった。
それではガンガーに向かいますか。

ヴァラナシ水没

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