ナポリという街


6時過ぎナポリ中央駅に到着。
昨夜は気がつかなかったが、カートレインにはベンツのクラシックカーも積んでいる。
オーナーは、どんな人なのだろう。

























洗練されたデザインの駅を出ると、正面広場は工事中、広場の両側にはホテル、ホテル。
すべての建物がホテルであるかのように、ホテルが林立している。







星無しのペンシオンから四ツ星まで、これだけ需要があるのか、と思われるぐらいの数である。
それに駅前が雑然としている。
まだ7時前なので人の数は少ないのだが、道ばたで寝ている黒人、座り込んでいるインド系の老人、屋台の営業の準備を始めている中国系の夫婦。
足下には、ビールの空き瓶やゴミが散乱している。
一昔前のアジアの都市の駅前を思い出した。

荷物を持って動くのはきついので、どこかホテルを見つけて、そこでチェックインの時間まで荷物を預かってもらおうと歩き始めたが、選ぶのに困るぐらいホテルがある。
目安は三つ星、予算は50ユーロ以下。
駅から200mぐらいの2本目の筋を左に曲がった場所に「ツーリスト・ホテル」というベタな名前のホテルがあった。







三つ星ホテルの、まず1軒目ということで当たってみた。
キーボックスを見ると部屋数は15か。
カウンターには夜勤明けと思われる若い兄ちゃんが一人。
「今日から4泊したいが、部屋はある?」
「大丈夫だ。1部屋空いている。」
「1泊いくら?」
「4泊であれば、120ユーロでOKだ。ただしキャッシュのみ、CCはダメだ。」
120ユーロということは1泊30ユーロ(3,300円)、これは安い。
「Wi-FiとかLANは使える?」
「それは無い。」
しかし30ユーロは魅力的な値段だ。
「あなたは、今朝ナポリに来たのか? それなら今からチェックインできるし、朝ゴハンも食べれば良い。」
それを聞いて即決、ラッキー。
部屋を見ていないが、まっ、いっか。
鍵をもらい部屋に入るとコンパクトで必要なものは一通り揃っている。
しかし、洗面台に栓が無いのと、トイレに便座が無い。
フロントで兄ちゃんに言うと(便座という単語が出てこなくてイラストで説明)「他の部屋も無いよ」と、「この客は、何を聞いてくるのか?」という回答であった。
それはそれでいいさ。
トイレの便座が無いのは、この後、ナポリの他のホテル、カフェ、美術館で経験することになる。
シャワーを浴びて、朝食を食べて、一休み。
9時頃、スパッカ・ナポリへ向かう。







フロントにキーを預けた時、オーナーから言われた。
「バッグはたすき掛けに、カメラは首から下げろ。」
また、言われてしまった。
”ナポリを真っ二つに割る”という意味のナポリの下町、いわゆる旧市街である。
ナポリを紹介する写真で、洗濯物が窓から下がった細い路地の写真はここである。













ホテルから下町へは数百メートル。
その間は、雑然とした屋台街となっている。
そこを通り抜けてスパッカ・ナポリへ。
まだ、観光客が動く前なので、地元の人以外はあまり歩いていない。

スパッカ・ナポリの入り口のナポリ銀行へ。
先ほど現金で宿代を払ったので、手持ちのキャッシュが心許なくなり、両替をするために入ったが、身体検査や荷物預けなど厳重である。
日本円からユーロに両替したい旨を伝えると、このような場所に日本円を両替するような人は来ないのか、窓口の若い銀行マンが1万円札を表裏と透かして見ている。
「日本円を見るのは初めてだ。ちょっと待ってくれ。」
とパソコンでレートを調べ始めた。
日本円のレートが表示されたモニターの上に一枚の写真が表示された。
「金閣寺」の写真。
銀行マンが「これは日本のか?」と聞くので。
「これは京都にある金閣寺という有名な寺だ。ついでに言うと、私は金閣寺の近くで働いている。」
なんで為替レートの表示に金閣寺の写真は表示されるのか良くわからないが、手数料もわずかで良いレートで両替することができた。
カメラを入り口で預けさせられたので写真をお見せできないのが残念である。





































このエリアは教会が多く、その代表的なドゥオーモへ。
ナポリでの旅の安全を祈る。



















いくつかの教会を回って、カフェで一息。
ビールを注文して肩から提げたカメラをカウンターに置いたら、バーテンダーが、「あなたが店に入って来たとき、カメラを肩から提げていた。この街では、カメラは首から提げなさい。」と言われた。
私は、カメラは首からさげず左肩から掛ける習慣なのでついつい。
この忠告を受けるのは、何度目だろう。
みんな見ているなぁ。それだけ、窃盗が多いということか。























































スパッカ・ナポリを抜けてポルタルバ広場へ。





























































そこから、海に向かいサンタ・ルチアへ。
サンタ・ルチアは日本人にもなじみの地名だが、ナポリの海沿いのエリアの地名である。
海に出た。
































「う〜ん、すごい景色だ。」
ナポリの街、ナポリ湾、ヴェスービオ山。
ゲーテが「ナポリを見て死ね」と言った意味はこれだったのか。


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