シンガポールでインドを考える


シンガポール到着。
トランジットが6時間あるので、地下鉄で市内に出て朝ゴハンを食べることにした。

カレー味以外のものが食べたかったので、飲茶か肉骨茶でもと思いチャイナ・タウンに向かった。
ところがチャイナ・タウンについてみると店が開いていない。
この国の朝は遅い。




















なんとか一軒の店を見つけ、麺にありつくことができた。
鶏ガラベースの味は舌に優しかった。































チャイナ・タウンの一角にはヒンドゥー寺院があり、前回来た時、ゴプラムは完成したばかりで地色のままであったが、彩色が施され鮮やかに仕上がっている。



















そろそろ店が開き始めたチャイナ・タウンを後にしてブギスへ。



















ブギスからリトル・インディアに向かって歩いていくと1階に金ぴかの派手な仏像がある商業ビルがある。
ここには複数のマッサージ店や土産物屋などが入っており、マッサージ店でマッサージを受けた。














少し身体が楽になりリトル・インディアへ。
ここには大きなショッピングモールがあり、その地下は巨大なスーパーマーケットがあり、ここでカップヌードルやカヤジャムなどを買い出した。

空港に戻るまでは時間があるのでリトル・インディアのホーカーズでビールを飲むことにした。
さすがリトル・インディア、キングフィッシャー・ビールが置いてある。
しかし、しばらくキングフィッシャーは飲みたくないのでタイガー・ビールにした。
シンガポールに来るとリトル・インディアには必ず寄るのだが、今回は印象が違う。
いつもシンガポールで一番賑やかで混然としたエリアと感じていたが、インド本国を経験してからここへ来てみると整然とした街に見えるから不思議だ。

信号はちゃんと守るし、自動車はレーンを守って走っている、歩行者は譲り合っているし、いきなり身体に触れてくる人もいない。
同じインド人とは思えない。
南インドからの出稼ぎが多いが、当たり前のことだがシンガポールに来ると、この国のルールの中で生活をしているのである。

ビールを飲みながら、雨に濡れたりしてボロボロになった『地球の歩き方インド編』をパラパラめくっていた。



水に濡れたりしてボロボロになったインド編

6月中旬、『地球の歩き方インド編』を買った。
まず編集が他の『地球の歩き方』と違うというか、昔の編集スタイルのままであることに驚いた。
今のこのガイドブックの編集は、最初に簡単な国の紹介があり、その後、各都市、街の紹介、レストラン、ホテル、ショップ、アクティビティの案内、最後に「旅の準備と技術」という構成になっている。
ところがインド編は「旅の準備と技術」の項が最初にあり、それも多くページを割いている。またホテルの紹介も中級からゲストハウスの紹介が中心で、高級ホテルは一覧形式での紹介のみである。
このことはバックパッカー向けのガイドブックという昔の編集方針を変えていないということである。
また「デリーとその周辺都市」という都市編も無い、全国版一種類のみである。
インドを旅する人のスタイルは変わっていないということなのか。

このことをインド旅行の経験豊富な友人の三谷眞紀さんにメール送った。すると、以下のような返信があった。

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インド編の扉にブッダの言葉スッタパニータが出ています。
あれがたまらないです。
あれに関しては、昔レビューを書きました。

「『地球の歩き方・インド編』の扉の頁に、必ず次の「ことば」が書かれている。
……寒さと暑さと、飢えと渇えと、風と太陽の熱と、虻と蛇と、…これらすべてのものにうち勝って、犀の角のようにただ独り歩め。……  (『ブッダのことば・蛇の章《三.犀の角》』より) 何度改訂を重ねても、これだけは扉に残っている。 いつからなのかは知らないが、少なくとも、私の手許にあるなかで、一番ふるい'89年度版の『歩き方』にはすでに記されている。 旅立つ前の下調べのときから、宿の豆電球のしたでも、移動中の乗り物のなかでも、否応なしにまず目に飛びこんでくることになる。 いつしか、広大無辺なインドの大地に対する憧れと旅心を、この短いことばに重ね合わせていく。 『歩き方』がガイドブックとしてすぐれているかどうかには賛否が分かれるとしても、こと『インド編』の扉部分に限っていえば、この章句を選び、ずっと載せつづけている編集者は大した人だと思う。」

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(「」は、彼女が自身のサイトで書いたブックレビューの一部抜粋である。)

その返信を読んで、彼女の感性の鋭さに感心したのである。
しかし、この時の私は、言葉の意味は理解しても実感は伴っていなかった。



スッタパニータが書いてある扉

そのメールを思い出し、扉のスッタパニータを改めて読んでみる。
2000年前の言葉と、今回の旅を重ねてみた。

今回の旅は以前来た時より、嫌な経験より、面白い経験のほうが多く楽しかったし、満足する写真も撮ることができた。
でも、なかなか思い通りにならない事も多かったのも事実である。
インド亜大陸という厳しい風土の中で生活している人達を相手に、温暖で便利で衛生的な国から来た旅行者は否応無しにギャップを突きつけられたのである。
この地は聖も俗も併せのむことによって、ほんの少しだけ理解ができ旅を続けることができるのである。

そして、インドを旅した後、シンガポールのインドで、この章はストンと腑に落ちたのである。

さて、そろそろ空港に行く時間である。

インドか・・・そうさ、また来るさ。

2011年8月8日~19日


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